黒田総裁2期目、初回政策決定会合の焦点は? 円高には「日本企業の円高耐久力」を強調か

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黒田総裁の2期目がスタート。第1回の金融政策決定会合は4月26~27日だ(写真:ロイター/Yuya Shino)

4月9日に黒田東彦日本銀行総裁が再任され、2期目がスタートした。再任会見では、政府との共同声明(2013年1月)を堅持し、2%の「物価安定の目標」をできるだけ早期に達成すべく、全力で取り組む考えを改めて示唆した。出口戦略について聞かれると、「コアコアCPIが前年比0%台半ばにとどまっており、2%の物価目標実現までにはなお距離がある」と語り、当面は強力な金融緩和を粘り強く続ける意向がうかがえる。当然ながら、市場での政策修正期待も消えつつある。

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それでも黒田総裁はこの5年間の経験を踏まえて、1期目の就任時会見(2013年3月21日)にはできなかった日銀組織の説明や経済見通しも語っていた。具体的には、「金融政策だけでなく、金融システムや金融市場の安定を確保することも、日本銀行の重要な役割です」「金融・経済に関する調査・研究という面でも、高いクオリティを有しています」とアピール。金融機構局、金融市場局、調査統計局の人々の日々の苦労が報われる言葉だ。そして今後5年間の抱負として、「日本銀行の持つ多様な力を一層引き出すことにより、金融面から、日本経済の更なる発展に貢献したい」と語った。

「オリンピック後の落ち込み」には否定的な黒田総裁

それ以外では、2つの回答が大きなヒントをくれたように思える。まずは先行きの経済見通しだ。世界経済について、「バランスのとれた形で拡大しているので、この成長はかなり長続きするのではないか」と回答。日本についても「建設従事者の人手不足が非常に大きいため、オリンピックそのものに対するインフラ整備等は進んでも、その他の民需については少し先送りになっている可能性」「オリンピック需要が一巡すると、がたっと落ちるという感じではなくなってきている」「過度に心配することはない」と語った。

ここから推察されるのは、4月27日発表の展望レポートでは、先行きの成長率見通しで上方修正の余地はありそうだ。堅調な経済見通しを背景に、物価目標達成時期は従来の「2019年度ごろ」を据え置き、今回新たに加わる2020年度も2%前後とするとみられる。

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