「かぼちゃの馬車」騒動が映す不動産投資の罠 大空室時代が到来、ブームから生存競争へ

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ブームが一服した不動産投資。投資家が生き抜く道はどこにあるのか(デザイン:池田 梢)

「詐欺だろう!」

「何が再生なのか、ふざけるな!」――。

社会問題となった女性専用シェアハウス「かぼちゃの馬車」をめぐるトラブル。運営するスマートデイズが4月9日、東京地方裁判所に対し、民事再生手続開始を申し立て受理された。12日に開かれたオーナー向けの説明会では、冒頭から怒号が飛び交った。

スマートデイズは家賃保証をうたってシェアハウス物件を売り、700人以上のオーナーを集めていた。地方から上京する若い女性が次々とシェアハウスに入居し、その女性に仕事を紹介することで、人材斡旋料という「賃料外収入」も加わる――。かぼちゃの馬車は、そんなビジネスモデルを大々的に宣伝し、多くの投資家を惹き付けていた。

1棟1億円超にも上る融資の返済がのしかかる

しかし昨年10月、突如として約束していた家賃を減額、今年に入り支払いを完全にストップした。オーナーは30~50代の会社員が中心。多くはスルガ銀行から1棟1億円を超えるような融資を受けていた。そのローン返済が重くのしかかる。

女性専門シェアハウスとして売り出された「かぼちゃの馬車」の物件(撮影:今井 康一)

『週刊東洋経済』4月16日発売号は、「不動産サバイバル 大空室時代が来る!」を特集。「かぼちゃの馬車」を象徴とする不動産投資の落とし穴に加え、首都圏地域別の空室率マップなど最新の市況、さらに今いかに不動産投資と向き合うべきかについての専門家の見方などを詳報している。

スマートデイズが民事再生申し立てに至ったのは、入居が低迷して新規の販売もままならず、資金繰りが行き詰まったためだ。民事再生手続きにより、企業を倒産させずに再建を目指す方針。オーナーの中にはまだ契約を継続中のオーナーもおり、そこには340人ほどの入居者もいる。「水道や電気、ガスなどの支払いが困難となるため、入居者のことを考えると、今すぐ破産するより民事再生のほうがよい」(スマートデイズ)という。

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