窮地のフェイスブック、CEOが背負った十字架 公聴会では議員100人が10時間にわたり詰問

拡大
縮小
4月10日、米国議会の上院公聴会で議員らの質問に答えるフェイスブックのマーク・ザッカーバーグCEO。5時間に及ぶ長丁場となった(写真:AP/アフロ)

20億人のユーザーを抱える世界最大のSNS、フェイスブックへの厳しい追及はしばらく止みそうにない。

フェイクニュースの拡散を助長しているとして対応を迫られてきた同社だが、今年3月中旬、米英メディアの報道により、今度は大量の個人情報流出が発覚した。マーク・ザッカーバーグCEOは4月10日と11日、米国議会上下両院の公聴会にスーツ姿で臨み、100人ほどの議員から計10時間にもわたり詰問を受けた。

ザッカーバーグCEOが公聴会で謝罪

「フェイスブックは理想的で楽観的な考えを持つ会社であり、人々をつなぐツールとして成長してきた。だが、悪意を持って使われることへの対処は十分でなかった。これは私の過ちであり、会社を創業し、経営する私には起こったことすべてに責任がある。申し訳なく思っている」

沈痛な面持ちで、大勢の議員やメディアに囲まれながら、ザッカーバーグ氏は公聴会で語り始めた。今回の個人情報の流出は、当初5000万人分といわれていたが、4月4日にはフェイスブック側が8700万人分にのぼると発表。当初はフェイスブックも被害者だという見方もあったが、同社への逆風は日に日に強まるばかりだ。

米国ではフェイスブックのアカウントを削除しようと呼びかける「#DeleteFacebook」のハッシュタグがSNS上を飛び交い、個人情報保護対策の強化や、ターゲティング広告のビジネスモデルに対する規制の必要性が強く叫ばれた。

「君が男なら、スペースXのフェイスブックページを消してくれないか?」とツイッターの一般ユーザーから問われたイーロン・マスク氏は、「存在に気づいていなかった。消すよ」と応じた(写真:ツイッターより)

シリコンバレーのテクノロジー企業のトップからも厳しい声が挙がるなど、控えめに言っても”袋だたき”の状況だ。イーロン・マスク氏率いる電気自動車メーカーのテスラや民間宇宙開発会社スペースXは、フェイスブック上の企業ページを削除。アップルのティム・クックCEOも、フェイスブックのビジネスモデルを批判する声明を出している。

米国内では、一般の人々の反応にも変化が現れている。写真など、プライバシーに関わる情報の投稿を控えるようになったり、実際にアカウントを削除する人まで出ている。ただしプライバシーの侵害に対する懸念については、「アマゾンエコー」などスマートスピーカーが話題となったことで人工知能(AI)がより身近になり、日常的に議論されている。今回のフェイスブックへの反応も、その一部と見ることができる。

次ページ議員からどんな質問が飛んだか
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT