子育てを頑張りすぎる母がプツンと来る瞬間

完璧を目指しすぎるのは精神的によくない

マネジャー業が許されるのも経済的余裕があってこそ(写真:Choreograph/iStock)

過保護、アダルト・チルドレン、毒親、子離れ失敗、最近のヘリコプター・ペアレンツ……子育てするなかで生じた不都合に関しては、思えばいろいろなワードが創り出されてきた。これらについて書かれた本や事例を読めば、これらの言葉は、どちらといえば、中産階級以上の収入がある家庭を背景に定義されてきたように見える。

「幻冬舎plus」(運営:株式会社 幻冬舎)の提供記事です

例えば、ヘリコプターペアレンティング*。

(*)ヘリコプター・ペアレンティングは子どもに過度に集中しすぎた子育てスタイルのこと。不安障害治療センター所長のDr. キャロリン・ダイチによれば、この子育てスタイルの親は、子どもの経験――とくに成功・失敗――まで、親に責任があると考えている。アメリカではミレニアム世代(90年代〜2000年代生まれ)の子どもたちが大学に入学する年齢になるとともに、「ヘリコプターママ」という言葉が、大学関係者を中心に爆発的に使われはじめた。

テキサスの精神医、アン・ダンネヴォルドによれば、ヘリコプターペアレンティングとはオーバーペアレンティング(過剰な子育て)のこと。子育てに責任を持ちすぎ、子どもの人生に

• 過剰なコントロール
• 過保護
• 過度に完璧さを求める

といったやりかたで関わることだという。

貧富の差が激しいと、過保護と育児放棄が二極化する

ヘリコプターマムと聞いてイメージするのは、車を運転しつつスマートフォンを駆使、小中高校生の我が子のスケジュール管理をしたり、教師やスポーツチームのコーチに連絡をとったり、ボランティアやインターンを見つけてきたり、勉学や大学入試の情報収集をしたりしながら、テキストで子どもの様子をチェックしている姿である。(ちなみにそういうママの実在は多数確認されています)言うなれば、“子どものマネージャー業”。であるが、そんなマネージャー業が許されるのも、ある程度の経済的余裕があってこそ。

いっぽう、過干渉・過保護であるヘリコプター・ペアレンツの対極に位置するのが、育児放棄や虐待する親たちだ。アメリカでもっとも貧富の差が激しい都市のひとつ・ロサンゼルスでは、ヘリコプター寄りと育児放棄寄り、両サイドへの二極分化が進んでいる。

この二極のうち、ソーシャルワーカーとしての現場では、育児放棄、幼児・児童虐待のケースを扱うことが多い。 これまでの研究は、おおむね家庭の貧困レベルがネグレクトや虐待の発生とやや強い〜強い相関関係にあることを示している。虐待の予防や子どもの保護などを行う子どもの福祉行政局として、ロサンゼルス郡のDCFS**が全米でいちばん規模が大きい(そしてそれでも人手が足りない)のは、何を示唆しているのかは言うまでもない。

(**)Department of Child and Family Service 子どもの虐待の通報を受け、子どもの保護、家庭への指導、養子、里親など各種制度と施設・司法機関と連携をとりつつ、子どもの安全と健康を支援するサービスを行っています。

だが、これがロサンゼルスで個人と会っている臨床心理セラピストとなると、一転、子育ての問題とそれにともなうストレスの相談――つまり、ヘリコプター・ペアレンツ極の問題――が山のように持ち込まれることになる。

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