不動産屋が扱わない「空き家」が売れるワケ

空き家マッチングサイトの知られざる実情

もうひとつは、鹿児島県の築40年の元花屋の店舗だ。売り手Cさんは4年前に身内が営業をやめてから売却を考えていたものの、リフォームにも解体にもコストがかかるなどの理由から、不動産会社経由では売れなかった。

「『家いちば』は、そういった不利な条件でも掲載できるので、利用してみることにしました」とCさん。情報の掲載から約1週間のうちに問い合わせが来て、契約に至った。買い手Dさんは東京都に住んでいるが、「家いちば」でこの物件を見て、付近に親戚がいるこのエリアと建物に興味をもち購入を決めたのだという。若者が集う場として再生したいと、今、計画を練っているところだ。

契約が決まった、鹿児島県の元花屋の店舗。以前は料亭だったため、天井の細部にその名残がある(写真:家いちば)

その建物と地域を大切にしたいという気持ちを忘れずに

最後に、藤木さんに、空き家を購入するときの心構えやマナーを尋ねた。

「単に、タダだから譲り受けよう、安いから買ってみようなどとは、思わないでほしいんです。空き家の売り主のなかには、先祖代々の土地と建物を売ることに抵抗感がある人も多い。それを乗り越えられずにいるから、空き家になっているという事情もあるんですね。

『先祖代々の建物と土地を預かる』『近隣との昔ながらの付き合いを大切にする』という気持ちを忘れずに、また、その気持ちを売り手にきちんと伝えつつ、購入の交渉に臨んでいただきたいと思います」

今後、引越し先などで住まいや店舗を探すとき、こういったマッチングサイトや口コミを通じて、空き家活用を選択肢に加える手もありそうだ。空き家は流通にのっていないケースが多いので、契約時には宅地建物取引士など不動産のプロに、快適に住めるかどうか、リフォームが必要かなどは建築士など住まいのプロにアドバイスをあおぎたい。

そして、藤木さんの言うように、売り手の建物への思いや昔ながらの付き合いを継承するといった配慮を、念頭に置いてほしいと思う。

(構成・文:介川亜紀)

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