月給21万円「裁量労働制」の彼が味わった地獄
賞与が出るという求人票も実質はウソだった

店長候補で入ったら「固定残業制」でブラックまっしぐら
4年制大学を卒業し、大手コンビニとフランチャイズ契約をして15店舗ほど運営している会社に正社員として就職したAさん。
求人は中小企業専門の求人サイトで、「スカウトサービス」というものを利用して見つけた。「スカウトサービス」とは自分の職務経歴や、希望条件、語学力などを匿名で登録し、企業がその内容をみて求人条件にあった人に直接メールを送るというサービスだ。サイトから紹介されたその会社の求人票では、
「月額20万円、1日8時間のシフト制で年間休日は100日」
となっていた。基本給に残業代も上乗せされれば二十数万円稼ぐことができ、新卒の相場と比べても条件は悪くない、こうしてAさんはこの会社に入ることを決めた。
採用が決まり契約書を交わしたのだが、そこには賃金に関して求人の
「月額20万円」から大きく変わって、
「基本給15万円、営業手当2万円、業務手当3万円、手取り17万8000円」
となっていた。後で分かることだが、この会社の言い分では賃金体系は典型的な「固定残業代」制をとっており、いくら残業をしても、この税金等を差し引かれた手取り17万8000円以上は一切会社から払われることはなかった。しかも契約書には「残業手当」について明確に書かれておらず、「営業手当」や「業務手当」が何に相当するかもはっきりしていない。