恋人への過剰な束縛が性暴力と知ってますか

フェミニストは誰のために闘うのか

殴る蹴るなどの暴力だけがDVではありません(写真:bee / PIXTA)
さまざまな性の表現があふれる現代ニッポン。いま「問題」と感知できなくなっている性の「問題」をめぐり、香山リカさんと北原みのりさんが対談で考察を深めていった一冊が、近刊『フェミニストとオタクはなぜ相性が悪いのか――「性の商品化」と「表現の自由」を再考する』(イースト・プレス刊)です。
#MeToo運動をはじめとする最近の性に関する問題意識について存分に語っていただきました。
(2018年1月18日、下北沢・本屋B&Bにて収録)

セクハラは女性へのポジティブな評価?

北原:#MeToo が話題になっているさなか、ワイドショーを見ていたら、元外務省官僚の女性がどこかの講義で大学生たちに、上司にされてイヤなことの選択肢を出したそうなんです。正確な記憶ではないですが、1.上司にキスされること、2.お茶くみさせられること、3.家で子育てしてろと言われる、というものだったと思います。すると1番が最も少なかったと話していました。2番と3番は、仕事が出来ないからというネガティブな評価で、1番は、かろうじてポジティブな評価だからと説明していて、かなり衝撃を受けました。

「幻冬舎plus」(運営:株式会社 幻冬舎)の提供記事です

香山:学生の話で言うと、デートDVなんかに関してはまったくわかっていないですね。結婚していないカップルのDVは、殴る蹴るなどのわかりやすい暴力とは違う形になることがあり、一番多いのが「束縛」です。しかも、心理的な束縛の形を取ることが多い。

たとえばずいぶん昔、私のゼミにいる女子学生に、「どうしてこのゼミを選びましたか?」ときくと、「彼から男の教授のところには行くなと言われたから」という返事が返ってきたことがありました。その学生の彼氏はとても過干渉で、「今日は本当に大学に行くのか? そう言ってほかの男と遊んでいるんじゃないんだろうな? 授業を受けてる写真送れ」などと言ってくるそうです。もしかしたら、その学生は自分の研究テーマにより近い男性教授の別のゼミを選びたかったかもしれない。でも、それが許されない。そういうふうに束縛するというのも、デートDVの典型です。

次ページ学生にそれはデートDVだと伝えても…
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