恋人への過剰な束縛が性暴力と知ってますか
フェミニストは誰のために闘うのか

セクハラは女性へのポジティブな評価?
北原:#MeToo が話題になっているさなか、ワイドショーを見ていたら、元外務省官僚の女性がどこかの講義で大学生たちに、上司にされてイヤなことの選択肢を出したそうなんです。正確な記憶ではないですが、1.上司にキスされること、2.お茶くみさせられること、3.家で子育てしてろと言われる、というものだったと思います。すると1番が最も少なかったと話していました。2番と3番は、仕事が出来ないからというネガティブな評価で、1番は、かろうじてポジティブな評価だからと説明していて、かなり衝撃を受けました。
香山:学生の話で言うと、デートDVなんかに関してはまったくわかっていないですね。結婚していないカップルのDVは、殴る蹴るなどのわかりやすい暴力とは違う形になることがあり、一番多いのが「束縛」です。しかも、心理的な束縛の形を取ることが多い。
たとえばずいぶん昔、私のゼミにいる女子学生に、「どうしてこのゼミを選びましたか?」ときくと、「彼から男の教授のところには行くなと言われたから」という返事が返ってきたことがありました。その学生の彼氏はとても過干渉で、「今日は本当に大学に行くのか? そう言ってほかの男と遊んでいるんじゃないんだろうな? 授業を受けてる写真送れ」などと言ってくるそうです。もしかしたら、その学生は自分の研究テーマにより近い男性教授の別のゼミを選びたかったかもしれない。でも、それが許されない。そういうふうに束縛するというのも、デートDVの典型です。