「米国株は高すぎる」と言える「3つの理由」 「従来の壁を超え新次元に突入」は正しいか

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米国のマーケット関係者は、株価上昇を喜びつつも「どこかで崩れる」と警戒しているはずだ(写真:tomcat/PIXTA)

「遠すぎた橋」という、米英両国合作の映画をご存じだろうか。公開が1977年なので、筆者のような「おっさん世代」以上でないと知らないとは思うが、ロバート・レッドフォード、ジーン・ハックマン、マイケル・ケイン、ショーン・コネリー、アンソニー・ホプキンス、リヴ・ウルマンなど、そうそうたるメンバーが出演している映画だ。

2017年の日経平均は映画「遠すぎた橋」に似ていた?

内容は、第2次世界大戦時に実行された、連合国側の「マーケット・ガーデン作戦」を描いたものだ。この作戦は、連合国軍の兵站が延び切っているため、空挺部隊を中心に複数の橋を一気に押さえてドイツに迫ろう、というものであった。しかし作戦には無謀な部分が多く、当初はある程度の成功を収めたものの、最後の目標の橋までは確保することができず、「遠すぎた橋」に終わった。

翻って株価の話をすると、現在、日経平均株価は、現在2万3000円台後半にある。もちろん背景には日本企業の業績回復があるので、昨年は一時1万9000円台にあった日経平均が、上昇したこと自体に違和感はない。

しかし、昨年10月の急騰は、NT倍率(日経平均÷TOPIX=東証株価指数)の急上昇を伴っていた。このことからは、日経平均「ばかりが」吊り上げられた感が強く、海外短期筋の日経平均先物買いと推察される。

また、その見解は、昨年11月の筆者の米国出張取材や、同12月に欧州諸国を歴訪した知人からの情報で、欧米長期筋はほとんど日本株現物に積極的でなかったことがわかり、当方の考察が裏付けられたと考える。すなわち、昨年10月の日経平均の上振れは、業績回復に伴う裏付けを伴った上昇分に、投機の吊り上げによる「お化粧分」が乗ったということだ。

これは海外短期筋の「マーケット・吊り上げ作戦」かもしれないが、その作戦には実態とかい離した無謀な部分があったため、昨年は2万3000円を超えても極めて短期的に終わり、昨年に関しては、2万3000円水準が「遠すぎた橋」であった。

次ページでは2018年はどうか?
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