中小企業向け融資にAI・ネット完結の新潮流 ネット銀行やノンバンクが銀行の間隙を突く

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会計ソフトの弥生と親会社オリックスが共同設立したアルトアが始めたオンライン融資サービスのサンプル画面。申し込みから契約までネットで完結するオンライン融資が広がりつつある(写真:アルトア)

銀行からの借り入れに縁がなかった中小企業にとって、「オンライン融資」の広がりは朗報といえそうだ。手続きはネットで完結し担保も不要。審査に数週間かかる銀行と違い、最短で即日融資決定も可能という高い利便性が売りだ。

オンライン融資ではアマゾンなどネット通販大手が出店者向けで先行していたが、この1年ほどの間に、ジャパンネット銀行や住信SBIネット銀行、フィンテックベンチャーのクレジットエンジンなどが幅広い業種向けにサービスを開始。会計ソフトの弥生も2017年12月、親会社オリックスと共同設立した貸金業子会社のアルトアを通じて参入した。

AI活用で少額・短期での融資を実現

クラウド会計などと連係したデータを用いて決算書など書類提出の手間を省き、AI(人工知能)活用で審査にかかる人件費を圧縮し、銀行では対応できない少額・短期での融資が可能となった。弥生とアルトアの社長を兼務する岡本浩一郎氏は「融資の常識に挑戦し、潜在需要を掘り起こす」と力を込める。

アルトアの場合、金利の中心帯は年利7〜8%となるもようで、安くはない。だが、ノンバンクの金利は2ケタが普通で、売掛金の現金化では2割以上の手数料を取られることもある。弥生の調査からは、銀行から借りなかった経営者が、自己資金や親戚に頼るなど資金繰りに苦労する様子が見て取れる。使い勝手のよさが伝われば、一定の需要は見込めそうだ。

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