株高の裏で、「金融所得」増税が浮上している 所得格差是正には、これしか残っていない

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連日高値の続く日経平均株価だが、それを見越した増税のシナリオが囁かれる(タカス / PIXTA)

今年に入って日本の株価が上昇している。日経平均株価は1月16日、1991年11月以来、26年2カ月ぶりにバブル崩壊後の最高値を更新した。

それを見越していたわけではないが、年明け早々、複数の大手メディアが「金融所得」増税に関する観測記事を立て続けに報じた。つまり、預金の利子、株式の譲渡益や配当をはじめとする金融所得に対する税率を引き上げる案が、現政権内にあるという報道である。

今のところ、これが株価に悪影響を与えている様子はない。ただし、株式の譲渡益や配当に対する増税が具体化されると、株価を左右するかもしれない。

与党税制大綱に潜り込ませた一文とは

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その発端は2017年12月14日に与党決定され「平成30年度税制改正大綱」にある。税制改正大綱は毎年度、与党で先に決定され、その後内閣にて閣議決定される。与党として決定した税制改正大綱を「与党大綱」、内閣が閣議決定した税制改正大綱を「政府大綱」ともいう。税制に関する与党での議論ではさまざまな意見が出るため、次の通常国会で法改正すると合意したものと今後に議論を回すものとを、記録にとどめる。それが与党大綱だ。与党大綱のうち、次の通常国会で法改正すると合意したものだけを、ほぼ修正を加えることなく、政府大綱として閣議決定する。

実際、金融所得に関しては、政府大綱ではなく、与党大綱に明記された一文がある。

「金融所得に対する課税のあり方については、家計の安定的な資産形成を支援するとともに税負担の垂直的な公平性等を確保する観点から、関連する各種制度のあり方を含め、諸外国の制度や市場への影響も踏まえつつ、総合的に検討する。」

まず「家計の安定的な資産形成を支援」というのは、NISA(少額投資非課税制度)やiDeCo(個人型確定拠出年金)の拡充を意図している。もう1つ、「税負担の垂直的な公平性等を確保」というのは、所得格差を是正すべく、金融所得に対する税率を引き上げることを暗に意図している。

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