ビットコインは「物々交換の時代」を切り拓く ブロックチェーン後の未来の経済とは?

拡大
縮小
近未来の社会の姿は?(写真:Garsya / PIXTA)

ブロックチェーンとは何かを正確に理解するのは難しい。ブロックチェーンとビットコインやイーサリアムの関係、ビットコインというのは一般名称なのか固有名詞なのか、電子マネーと仮想通貨の違いは何なのかなど、個々に考えてみるとよく分からないことだらけである。

冷静になってみればそれも当然で、ブロックチェーンは生まれたての技術であり、AI(人工知能)と同じように、評価が定まらないだけに、過大評価されたり誤解されたりもしている。

ブロックチェーンによって世界はどう変わるか

上の画像をクリックするとHONZのサイトへジャンプします

そもそも、ブロックチェーン技術を発明した「サトシ・ナカモト」なる人物が特定の個人なのか、或いはグループの名前なのかさえ分かっていない。最近では、数学の超難問「ABC問題」を証明したと言われて大騒ぎになっている、京都大学の望月新一教授が開発したという説まで出ているほどである。

私のような文系人間にとっては、ブロックチェーンの技術的な細部よりも、その全体構造やそれが人類の未来にどう関わっているのかの方に関心がある。そもそも、ITリテラシーが低い人にとっては、技術的なことを細かく説明されても、結局のところ何を言っているのか分からないので。

そうした中で、先日、Mistletoe社長の孫泰蔵氏がFacebookに『今世界で最もホットで、最もエキサイティングな、新しい時代を創っている子たちに会った』というタイトルで、イーサリアムを生み出した23才の若き天才、ヴィタリク・ブテリンと話したことを興奮気味にアップしていて、そこに本書『信用の新世紀 ブロックチェーン後の未来』が紹介されていたので、直ぐに購入して読んでみた。

読み始めて直ぐに、この本のタイトル「信用の新世紀」と「ブロックチェーン後の未来」の意味するところが理解できた。ここには、ブロックチェーンの技術的な解説と同時に、ブロックチェーンによって世界がどう変わるかの未来像が示されている。

そして、特に重要なのは、今流通している法定通貨がデジタル通貨に置き換わるという単純な話ではなく、我々が寄って立つ貨幣経済とその前提にあるマネーそのものが急速に衰退していくことが予見されていることである。

次ページ貨幣が衰退すれば、金融が衰退する
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT