古文書がネットオークションで散逸する危機

「バラバラになると歴史観を構築できない」

大手ネットオークションサイトに出品された福井県にまつわる古文書の一部

福井県内の歴史を伝える多くの古文書が、インターネットのオークションサイトに流出している。福井県史の編さんから最長40年を経過することを受け、県文書館は本年度から5年計画で編さんに使用した古文書の現状を確認する追跡調査に着手。所蔵者の代替わりや引っ越しによる紛失に加え、近年のお宝志向によるネットでの史料散逸も思わぬハードルになりそうだ。

史料の全容がわかってこそ意義があるのに

「福井方面なんかいろいろ出ているようです」。昨年11月末、全国の学芸員や大学教授ら47人でつくる非公開のSNSグループに、京都の歴史研究者から“通報”が入った。グループは5年前に立ち上がり、貴重な史料のネット流出に備えてボランティアでオークションサイトに目を光らせている。

このとき出品されたのは、坂井市内の旧村にまつわる江戸中期から末期の年貢の記録や借金証文など。歴史的価値はそれほど高くないとされるが、帳簿類と思われる史料がバラバラにされ、数枚千円から大量に売り出されていた。

古文書の散逸に詳しい国文学研究資料館(東京)の西村慎太郎准教授は「古文書は保存されている旧家や寺院を含め、史料の全容が分かってこそ意義がある。オークションで“輪切り”にされると、もう歴史観を構成できない」と指摘する。歴史ファンが買い求めるだけでなく、飲食店が安価で競り落とした古文書をインテリアとして壁紙の一部にした例もあるという。

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