渋谷の闇が招いた18歳少女の乳児殺人容疑

「子どもが子どもを育てる」異常の中で起きた

2017年2月13日の判決。裁判長は、ペットボトルの水を2度、口に含んでから開廷を告げた。

被告人は無罪

「主文、被告人は無罪」

『きょうも傍聴席にいます』(幻冬舎)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

判決は、法廷で証言した医師らの見解を整理してから、争点である女児の首の傷について判断した。「検察官の主張には合理的な疑いを差し挟む余地が残るから、首の圧迫による窒息死とは認められない」

その根拠にしたのは写真だった。皮膚科医も、法医学者も、解剖時の写真で判断しており、遺体は直接見ていなかった。裁判長は、写真はピントや照明の当たり方によって見え方が異なるため、「写真に基づく判断の信頼性にはおのずから限界がある」と指摘した。

裁判長は「要するに」と言って顔を上げた。「それぞれの立場の医師が合理的に説明しており、専門的知識を持っていない我々には判断できないということです」

その上で、弁護側が言う衰弱死の可能性を検討。死亡数日前からほとんどミルクを与えられていなかった事情などを踏まえ、「低栄養と脱水で身体機能が低下し、うつぶせ寝で鼻と口がふさがって死亡した可能性をぬぐえない」とした。

1時間近く判決を読み上げた裁判長は被告に語りかけた。「大変難しい裁判でしたが、裁判員のみなさんも辛抱強く証拠調べに立ち会ってくれた。長時間真剣に議論して無罪という、この結論を重く受け止めてほしい」

被告は証言台の前で深く一礼した。

2017.2.26 (志村英司)

*追記  検察側は控訴せず、無罪判決が確定した。

幻冬舎plusの関連記事
人生を変えるために「今」を変える
「対話」は北の時間稼ぎと「食い逃げ外交」に利用されただけだった
身近な人と話すとき「絶対」と言わない
ライフの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 本当に強い大学
  • 非学歴エリートの熱血キャリア相談
  • 映画界のキーパーソンに直撃
  • Amazon週間ビジネス・経済書ランキング
トレンドライブラリーAD
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
「満足度No.1」は本当か<br>英語コーチング広告で紛糾

近年急拡大し伸び盛りの英語コーチング業界が広告・宣伝のあり方をめぐって真っ二つに割れています。大手プログリットの広告に対し、同業他社が猛反発。根拠薄弱な宣伝文句が飛び交う、ネット広告の構造問題に迫ります。

東洋経済education×ICT