マンション「駅近信仰」を変える新トレンド

「ソフト面」の充実が消費者を動かす

以前取材した子育て世帯は、子どもが私立の小学校に合格したので、その小学校の近くで家を探したと言っていた。小学校への道のりの安全性も気になるようで、できるだけ短くしたいと考えたという。子育て世帯ならではの発想だ。

また、最近の待機児童問題は、保育園から学童保育へと広がっている。働くママにとって、子どもを預けることができる場所の確保は大きな問題だ。リクルート住まいカンパニーが子育て世帯に調査したところ、「保育園や学童保育が設置されているマンション」なら、駅からの距離は許容できるという回答は約35%あったという。

「通勤より子どもを預けられる場所のほうを優先」という子育て世帯が増えて、「育住近接」重視へということは、当然の流れだろう。ここまでの話なら、特に新しい兆しということでもないように思えたのだが、面白い事例が増えているというのだ。

近いだけではなく、ハード+ソフトの両輪で子育て支援

そこで、新しい兆しが感じられるとして紹介された、いくつかの事例を見ていこう。

まず、「子育てママの助け合い」を促す賃貸の共同住宅の事例(へーベルメゾン母力)。中庭に子どもが遊べる場とそれを見守るママが集える「お母さんステーション」を設置し、各住戸から中庭に出入りしやすいように設計されている。入居には、住民憲章「子育てクレド」への賛同が前提で、先輩ママが定期訪問して相談にも応じてくれる仕組みを整えた。互いに助け合いができるハードとソフトを備えた、江戸時代の長屋のような住宅だ。

次に、分譲マンション内に施設として民間学童を誘致する事例(ザ・パークハウス国分寺四季の森)。預かるだけでなく、英語や音楽、芸術など豊富なプログラムで充実した学び・体験ができるようにしたもの。同じような事例として、UR賃貸の団地の敷地内に、多彩な学び・体験ができる民間学童を誘致したもの(東雲キャナルコートCODAN)もある。

顔見知り同士で子どもの送迎や託児の頼り合いができるネットの仕組み「子育てシェア」(有料、謝礼1時間当たり500円~700円)を導入した事例(イニシア大井町)もある。交流イベントなども開催し、顔見知りを増やす工夫もしている。こうした手法なら、既存の規模の小さいマンションでも実現可能だ。

次ページいずれも利便性だけでなく…
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