母の殺人と父の自殺幇助に問われた女の述懐

「一緒に死のう」親子3人が入水した絶望の川

最終の意見陳述。被告は時折嗚咽(おえつ)を漏らしながら、声を絞り出した。

「今思えば、私と母は相似形の親子でした。父も含めれば三位一体の関係だった」

「いつの日か世間に出て、『あのとき一緒に死んでいればよかった』と思う場面があるかもしれないが、何があっても生きていくことが、両親への供養になると思っています」

「これからもどうか見守っていてください」

「姉の証言がありましたが、私も実際、父を『お父さん』と呼んだことはありません。きょうは両親の月命日で……私のわがままなんですけど……」

涙で鼻がつまる。一呼吸置いて、こう言った。

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「お父さん、お母さん、こんな私ですけど、これからもどうか見守っていてください」

6月23日の判決は懲役4年の実刑。「社会的な援助を受けて生きることもできた。生命を軽視していたと言わざるを得ない」。献身的な介護、深い親子関係を認めながらも、執行猶予は付けなかった。

宣告後、裁判員と裁判官からのメッセージが告げられた。

裁判長:「仲良く暮らしたときのお父さん、お母さんの顔を忘れることなく、毎日を大切に生きてください」

「ありがとうございました」。被告は深々と頭を下げた。

検察、弁護側双方とも控訴せず判決は確定した。

2016.8.5 (金子智彦)

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