母の殺人と父の自殺幇助に問われた女の述懐

「一緒に死のう」親子3人が入水した絶望の川

検察官:「説得しようとは思わなかったのですか」

被告:「全然考えませんでした。お金の関係は何とかなるという認識でした」

検察官:「父も手術すればよくなるはずだし、心中しなくても大丈夫と思うのが普通だが?」

被告:「よくなるとは思えないくらい症状が悪かったんです。父も手術しても寝たきりになるかもしれないと言っていました」

検察官:「なぜ心中しようと思ったのか?」

被告:「父は、すべてがなくなって解放される。楽になる。体調悪化の苦しみ、生活保護の調査を受けたこと、母の介護。すべて込みで楽になる。私については……わかりません。今は、父に(心中を)言われなければ死ぬつもりはなかった、と思います」

検察官:「母を死なせたことについては?」

被告:「私と父が(死んで)楽になり、残された母が施設に入っていじめられたらかわいそう。家族だから一緒じゃないと意味がない、と父に言われました」

惨めで、死にたい気持ちが高まった

「懇願」の翌19日、市役所の職員が自宅を訪れた。生活保護に関する面接だった。生い立ちや家族の状況について聞かれた、と被告は説明した。

被告:「今までの人生、高校を中退し、仕事を転々としました。親子で同じような人生を歩んでいるなあと思った。惨めで、死にたい気持ちが高まりました」

心中を言い出した父は「(手術を受ける予定の)30日までに心中できれば」と言っていた、という。しかし被告は「行くのを早めるよ」と言った。

被告:「死ぬのを早めたのは私です」

事件当日の21日。なお「明日にしよう」とためらう父に被告は往生際が悪いと腹を立て、「そんなんじゃ置いていくよ。死ぬ気あるの」などと迫った。昼過ぎ、両親を車に乗せ、以前家族で行ったことがあった群馬県の草木ダムへ。

被告:「ダムへ車でダイブできればそこでもよかったんですが、適当な場所がなくて。父は『列車に突っ込もう』とも言っていましたが、遺族に巨額の賠償が請求されるって聞いていたので、やめました」

次ページその後、自宅近くの利根川付近に戻り…
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