25歳の男が妻の不倫相手に下した凄惨な復讐

法廷で見えた夫婦間の認識と意識の微妙な差

「妻が受けたセクハラ」の話を聞いて、平常心でいられなかった被告人(撮影:今井康一)
殺人など事件が起きると、警察、被害者の遺族、容疑者の知人らへの取材に奔走する新聞記者。その記者がほとんど初めて、容疑者本人を目にするのは法廷です。
傍聴席で本人の表情に目をこらし、肉声に耳を澄ましていると、事件は、当初の報道とは違う様相を帯びてきます。
自分なら一線を越えずにいられたか? 何が善で何が悪なのか? 記者が紙面の短い記事では伝えきれない思いを託して綴る、朝日新聞デジタル版連載「きょうも傍聴席にいます。」。毎回大きな反響を呼ぶ人気連載が新書『きょうも傍聴席にいます』としてまとまりました。記者が見つめた法廷の人間ドラマをお届けします。

弁護士局部切断という衝撃的な結末に至るまで

「幻冬舎plus」(運営:株式会社 幻冬舎)の提供記事です

司法試験の合格を目指していた男が、妻と不倫関係にあった男性弁護士の局部を切断しトイレに流したとして、傷害罪などに問われた事件。衝撃的な結末に至るまでに、3人の男女に何があったのか――。

2015年10月28日に東京地裁で開かれた初公判。被告の元法科大学院生の男(25)は、認否を問われると、「間違いありません」と答えた。ボクサーのプロライセンスを持つ被告だが、法廷に現れた姿はそんな気配を感じさせず、どこか不安そうな様子だった。

起訴内容は、40代の男性弁護士の顔を数回殴り、局部を枝切りバサミで切断したというもの。被告の妻は法律事務所でこの男性弁護士の下で働いていたという。

裁判は波乱の幕開けだった。初公判で検察側が冒頭陳述を読み上げようとすると、弁護人が「(被害者の)詳細なメールの内容が引用されていて不当だ」と異議を挟んだ。結果、検察官は詳細なメールの引用は控えた上で、翌11月の第2回公判でようやく冒頭陳述を読み上げた。

その冒頭陳述などをもとに経緯をたどる。

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