所有者不明の不動産に困惑する行政側の悲鳴

空き家の取り壊しひとつで四苦八苦

土地の位置や形状を明確にする地図もあやふやだ。福井地方法務局が管理する、地籍調査などを行った精度の高い地図は21%(枚数ベース)にとどまり、残りの多くは明治時代の地租改正のときに作成されたものがベースになっている。ある関係者は「明治の図面は筆で書かれており、太い線や細い線がある。絵図レベル」と苦笑する。

経済活動にも影響が出ている。小竹副会長は「図面と現状があまりにも違い、所有者もはっきりしないため、土地を担保にした融資が受けられなかったり、売買できなかったりするケースがある」と指摘する。

土地だけではなく家も

「所有者不明の恐れ」は土地だけではない。家にもある。福井県越前町は2016年10月、行政代執行で、40年ほど無人だった同町梅浦の空き家を取り壊した。木造2階建ての屋根の一部は抜け落ちていた。

取り壊しの準備には数カ月かかった。所有者は元々は町内の女性だったが、既に県外で亡くなっていた。所有者の戸籍の情報などから子ども、孫、おい、めいの計12人の相続人がいることが分かった。

住所は、東京都や愛知県などバラバラ。町はそれぞれの自治体に戸籍を請求した。やりとりは個人情報保護の観点から全て郵便だった。結局、全員が相続放棄を裁判所に届け出ており、町は税金をつぎ込み撤去した。

同町の担当者は「空き家の所有者や相続人が見つからないケースも考えられ、その場合は行政も手出しできない。苦情があっても、バリケードで囲うぐらいしか策はない」。15年後、国内の空き家率は3割を超える見通しだ。

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