ノーベル物理学賞「重力波観測」何がスゴいか
宇宙誕生の瞬間も見ることができる

100年越しのすばらしい発見
2016年年2月11日(現地時間)に、すばらしい大発見が発表されました。新聞も一面に大きな見出しを掲げて報道したので、覚えている人も多いでしょう。
米国の研究グループが、「重力波」の直接検出に世界で初めて成功したのです。
この歴史的な偉業を成し遂げたのは、カリフォルニア工科大学とマサチューセッツ工科大学が中心となって建設した「LIGO(ライゴ)」という観測施設でした。正式には「レーザー干渉計重力波観測所(Laser Interferometer Gravitational-Wave Observatory)」といい、LIGOはその頭文字から取った略称です。

プロジェクトがスタートしたのは、1992年のこと。その前後の7年間、カリフォルニア工科大学に籍を置いていた私も、LIGOに参加して検出器の一部を担当していました。ですから今回の発見は、自分のことのように嬉しく思っています。以前から「成功すればノーベル物理学賞は確実」といわれていた研究ですから、物理学や天文学の関係者たちも手放しで賞賛しました。
しかし一般の人々にとって、この発見の意味やインパクトはわかりにくいものだったかもしれません。新聞の見出しの大きさはアポロ11号の月面着陸にも匹敵するものでしたが、いきなり重力波といわれてもピンと来ず、「いったい何がそんなにすごいのか?」と首を傾げた人も多いと思います。