村上世彰氏、黒田電気との復帰初戦で「勝利」 外資系ファンドがTOB、3年越しの対立に幕

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大阪市淀川区にある黒田電気本店。TOBにより非上場化する見通し(撮影:梅谷秀司)

村上ファンド元代表の村上世彰氏が復帰戦に勝利した。

コメダホールディングスやTASAKIへの投資で知られる外資系ファンド・MBKパートナーズは、12月15日までに1株2720円で黒田電気株のTOB(株式公開買い付け)を実施する。過去1カ月間の平均株価に対して約36%のプレミアムをつけた。村上氏の個人資産運用会社や関係者は同社株の38%、総額323億円分を保有しており、今回のTOBで計84億円の利益を得る(税金や信用取引解消の影響を除く)。

村上氏はインサイダー取引容疑で2006年に逮捕され、二審で有罪が確定した。執行猶予の明けた2015年、復帰戦の相手に選んだのが黒田電気だった。

相次いだ不測の事態

足かけ3年の復帰戦は不測の事態の連続だった。

村上氏は黒田電気で得たキャッシュを何に向けるのか(撮影:今井康一)

黒田電気は開発・製造機能を持つ独立系の電子部品商社だ。村上氏は「M&A(企業の合併・買収)戦略を進めるべき」などと主張。2015年8月の臨時株主総会で、自らを含めた4人の社外取締役選任を提案した。

村上氏の提案は僅差で否決された。だが、会社側勝利の決め手となった従業員の反対声明書は捏造だったことが後に判明する。

その直後、村上氏が証券取引等監視委員会から相場操縦の疑惑で強制調査を受け、1年以上の休戦状態に。しかし監視委員会の追及がやむと、村上氏は再び黒田電気との対立を深めた。

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