看取りまで行う、高齢者シェアハウスの実情

「施設」ではなく「家」

銀木犀<浦安>の内装は木目を基調にしており、スタイリッシュで、大変きれいです。やわらかな雰囲気の装飾品、こだわりの感じられる質のよい食器類、そして開放的な大きな窓。忙しかった人生に「ていねいな暮らし」を取り戻すための工夫にも感じられます。

【画像5】用意された食事。自分で食堂の好きな席まで運ぶ。おかわり用のごはんは、テーブルごとに用意されたおひつから自分でよそい、下げ膳も自分で行う(写真撮影/近藤智子)

居室のドア脇に掲げられたネームプレート(表札)は布に刺繍が施されたもので、施設全体のやわらかな雰囲気とマッチしています。18.15~25.07m2の居室は広いとはいえませんが、移動が大変な高齢者には、かえって暮らしやすそうです。部屋にはトイレはありますが、お風呂だけは介助の必要な人もいることがあり、共用です。

玄関脇のスペースには小さなキッチンがあり、料理教室を開くこともできます。シニアが主体的に動くためのさまざまな仕掛けが、あちらこちらに施されているのです。

「多様化する暮らしの中で、先に道をつくりたい」

【画像6】駄菓子屋さんの店番をする入居者と遊びに来た子ども。駄菓子屋にはおどろくほどたくさんの種類の駄菓子が用意されていて、大人も子どもも楽しめる(画像提供/シルバーウッド・下河原忠道さん)

銀木犀の名物は、それぞれの住宅に併設されている駄菓子屋さん。銀木犀浦安でも、入り口に「だがし」ののぼりが揺れていました。駄菓子屋さんの店番をする人は、どうやってきめているのでしょうか。

「やりたい人を募って担当してもらっています。入居者の方にもできれば働いてほしいと思っていて、今度新しく作る銀木犀では、それが可能な豚しゃぶ屋さんを併設します。また、新しい銀木犀では大学生やシングルマザーの入居者も受け付けます。そうすることで、より多様化する暮らしの中で、先に行くべき道のモデルがつくれると思います」(下河原さん)

下河原さんは「看取り」を重視しています。在宅療養支援診療との連携もしっかり行い、入居者のかたを最後まで看取りたいというのが、下河原さんの考えです。やわらかな口調でお話をされる下河原さんですが、笑顔の裏には強い信念が感じられました。

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