アルプス電気、iPhoneカメラ中核部品の実力 5年で売上高3割増、アップルが認めた高品質

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米アップルが9月に発売した「iPhone 8」と「iPhone 8 Plus」。8 Plusには2つのカメラ(写真右)が搭載されており、高精細の写真を撮影できる(写真:Apple)

9月、日本でも一斉に発売された米アップルのスマートフォン「iPhone 8」と「iPhone 8 Plus」。11月にはアップルが目玉として推す新モデル「iPhone X(テン)」が発売される。顔認証やワイヤレス充電の機能で注目を集めている。

初代iPhone発売から10年、スマホの歴史はiPhoneの歴史といっても過言でないほど、アップルは技術革新を牽引してきた。その1つが、カメラだ。スマホの普及とともに、フェイスブックやツイッター、インスタグラムといった写真を共有できるSNSが発達し、多くのユーザーが高性能のカメラを求めるようになった。

その中で、スマホカメラの発展に寄与してきた部品の1つが、アクチュエーターだ。

スマホカメラに欠かせない「アクチュエーター」

アクチュエーターは、レンズを動かしピントを合わせる部品だ。よりシャープできれいな写真を撮れるようになる。これを手掛けるのが、アルプス電気やTDK、ミネベアミツミといった電子部品メーカーだ。

アルプス電気が手掛けるスマートフォンカメラ向けアクチュエーター(写真:アルプス電気)

iPhone向けでとりわけ存在感が強いのが、アルプス電気である。モルガン・スタンレーMUFG証券の佐藤昌司アナリストは「アルプス電気のアクチュエーターを採用すると、カメラの組み立てにおける歩留まりがよくなる。アップルからは、表面上のスペックだけでなくトータルの品質の高さが評価されてきた」と話す。

アルプス電気の業績はここ数年、アクチュエーターによって押し上げられてきたといっても過言ではない。同社はもともと、アクチュエーター単体ではなく、高機能の携帯電話(ガラケー)向けのカメラモジュールを手掛けていた。だが外部からの購入部品が多かったため採算が悪く、2008年のリーマンショックを受けた事業整理の中で、強みとする小型のメカトロニクス技術を生かせるアクチュエーターに絞ることを決めた。

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