アメリカの行く末を左右する孤立主義の本質

トランプのそれは建国の理念とは正反対だ

この非介入の原則は、理念としてその後、100年以上にわたってアメリカを支えました。また、この孤立主義、つまり対外不介入主義は、「アメリカは世界が見習う平和の使徒となろう」という大いなる理想主義の表れでもあったのです。つまりそれは、トランプの唱える孤立主義とはまったく似て非なるものだったのです。ここをよく比較する必要があります。

「アメリカ・ファースト」はローマ帝国衰亡の再現だ

アメリカがこの本来の孤立主義、つまり対外不介入の選択をした時代は、「啓蒙主義の時代」と言われ、ヨーロッパでも、ルソーやカントが、「人民の権利を確保して新しい自由と平和の天地を作るためには、お互いに外国に干渉するのはやめましょう」という主張や提案をしています。

共和制や民主制が崩れて堕落し、独裁や暴政に至るのは、軍事国家になることだというのがその主張の根拠になっています。つまり、軍事国家というのは、外の世界に関わって対外介入したり、外地で戦争をしたり、平和時に恒久的な同盟を結んで外国に軍隊を派遣したりするから、本国の社会が徐々に利権化・強権化していって自由を失っていくのだというわけです。

これは18世紀までは、欧米の人々にとって常識の中の常識でした。というのも、彼らは身近なものとしてローマ帝国の繁栄と衰亡の歴史を知っていたからでしょう。

古代ローマは当初、共和制でいい時代を迎え、大繁栄して自由を享受していました。

ところが、クレオパトラが支配するエジプトに関わり、シーザーが出てきて、あっという間にローマ“帝国”になってしまいました。

その結果、不要な対外戦争や征服を繰り返し、徐々に軍事国家になり、軍事的・経済的には世界最強の国になりました。しかし結局、今でいうポピュリズム化が進み、国内の本来の自由はどんどん奪われていきました。そして社会の活力を失っていき、最後は一大衰退の過程をたどってしまいました。

ギリシア・ローマの古典を熱心に学んだルネサンス以来の欧米では、これが教訓になって、アメリカ独立後の孤立主義というものが国家運営の一つの考え方として定着していったのでしょう。モンロー主義もその一部なのです。

モンロー主義とは、1823年、第五代アメリカ大統領のジェームズ・モンローが、ヨーロッパに対して、アメリカ大陸とヨーロッパ大陸の相互不干渉を提唱したことを指します。以来、アメリカはヨーロッパの戦争や外交にはずっと局外中立、不介入を守り続けました。

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