25歳で車椅子生活になった人が考えた「家」

ある日、下半身不随になったら…

家を買うとき、人は自分の未来の生活をそこに託すもの。健康なとき、そして身体が不自由になったときも自分らしく暮らせる「ライフタイム・ホームズ」という視点は、高齢化が進むこれからの社会では、さらに重要になってきそうです。

立地や広さだけが、住宅の価値ではない時代へ

太一さんは「ライフタイム・ホームズ」が増えることは、社会的な資産になるといいます。

「一般的には高齢者の介護が想像しやすいかもしれませんが、障がい全般に視野を広げると、そのあり方は実に多様です。車椅子が入る広さを確保するとか段差を減らすであるとかの、数値的な環境を整えればよいということではなくて、もっと個々のニーズに耳を傾け、対話することが必要。最近はそういった考えが広まりつつあり、社会の認識も徐々に変わってきています」(太一さん)

例えば足が動かない人と、目が見えない人、精神疾患を持つ人にとって何が生活の「バリア」になるかはそれぞれ違います。個々のケースに耳を傾け、みんなが過ごせる環境をつくることが、本当の意味でのバリアフリーになるのでしょう。

「近年、社会が個別性とか対話性を重要視するようになったことを、個人のレベルに深めて考えていくと、一般の人でも住宅についてもっと自分で考え、希望を述べるべきということではないでしょうか。障がい者の個性にとって障がいは分かりやすい属性個性ですが、健康な人だってそれぞれ個性的なはずですから。多様な希望や要望に添える家、状況によって変化できる家が増えれば、地域の財産にもなると思うのです。それが、“家が社会資本になる”ということです」(太一さん)

空き家が増え高齢化が進んだ社会では、健康な人しか住めない家はニーズが低くなっていくかもしれません。自分が住むことはもちろん、資産として家を見たときも「ライフタイム・ホームズ」が価値を持つ可能性は多いにあります。

家を探すときはまず立地や広さを重視するのが一般的だと思いますが、「多様な人が心地よく暮らせる家」であるかどうかも、考えに入れる必要があるのではないでしょうか。

(文:蜂谷智子)

●取材協力
BASSTRONAUTS

 

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