六本木ヒルズの「帰宅困難者」対策がすごい

災害発生への備えはこうなっている

また、森ビルでは全社員で、年1回、交通機関を使わずに会社から自宅まで歩いて帰る「徒歩出退社訓練」を行う。自宅が遠い場合は、5kmずつ区切って実施する。訓練では、社員に支給している六本木ヒルズ30km圏内の「震災時帰宅支援マップ」を見ながら、実際に自分の足で歩いて、帰宅支援ステーションや、危険な箇所はないかを確かめている。

帰宅困難者受け入れに向けて3日分の非常食などを準備

森ビルは震災時の帰宅困難者の受け入れについて港区と協定を結んでおり、一時的な避難場所の提供、備蓄食料、水の提供、誘導などについて協力を行うことを約束している。具体的には、帰宅困難者の一時的な避難場所として、六本木ヒルズでは約5000人、森ビルが管理・運営する大規模複合施設全体で約1万人を受け入れられる体制を整えている。滞在スペースは、商業フロアの共用廊下などで、そこにエアーマットを敷いて休めるようにする。

実際に、東日本大震災のときは、オフィスの帰宅困難者に対して1500人分の飲料水および非常食と550人分の毛布を提供した。また、六本木ヒルズでは港区より依頼された、約200人の帰宅困難者の受け入れ要請にもスピーディーに応えた。お年寄りや、親子休憩室を利用していた乳児を連れたお客さまについては、宿泊施設に案内した。

【画像3】森ビルウェストウォークの共用部分。非常時でも電気が使えるため、帰宅困難者を受け入れるスペースになる(写真提供/森ビル)

六本木ヒルズでは、備蓄倉庫に、帰宅困難者、住居居住者、オフィス・商業テナント、社員、協力会社、近隣の分を含め、3日間の期間を想定した防災備蓄品として、非常食、水、毛布、アルミブランケット、エアーマット、医薬品、生理用品、簡易トイレ、乳児向けのミルクやおむつ、ポータブル発電機などを用意している。帰宅困難者受入施設の衛生環境の維持も重要なことから、風邪やインフルエンザ、ノロウィルス、夏場の臭気対策用の備品も揃えている。

「アルミブランケットは、東日本大震災の経験を受けて採り入れたものです。薄く軽くて扱いやすいのに保温性があります」。ほかに、東日本大震災で自転車が移動手段として重宝されたことから、防災用自転車としてマウンテンバイクを購入した。経験を踏まえて常に有事を想定し、地震直後建物被災度推測システムの開発、独自のエネルギープラントによる安定的な電力供給、自家発電・発熱エネルギーシステムの活用など、ライフライン面にも着目し改良、進化が行われている。

【画像4】六本木ヒルズにある備蓄倉庫には非常食など防災備蓄品がギッシリ。段ボール箱が倒れないよう荷重制限などのルールもある(写真提供/森ビル)
次ページさまざまな種類のマジックライスやレトルト食品を用意
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