需要増なのに足りない、民間「警察犬」の実情

福井など22県警は民間の嘱託犬のみ

警察犬のシェパードを訓練する種本さん。行方不明者の捜索要請が増えている=福井県永平寺町の九頭竜川河川敷

超高齢化社会を迎え、徘徊(はいかい)する認知症とみられる人が増加の一途をたどる中、「鼻の捜査官」こと警察犬の出動が福井県内で急増している。行方不明者の捜索に昨年は26回出動しており、2011年の4回から6・5倍に増えた。一方、警察犬や指導手の数は伸び悩んでおり、迅速に対応できる態勢を維持するため、担い手の確保が課題となっている。

4月のある夜、自宅でくつろいでいた警察犬指導手、種本苑恵(そのえ)さん(32)=福井県永平寺町=の携帯電話が鳴った。警察からの出動要請だ。愛犬のシェパード「コスモ」の排便を済ませると、車に乗せて指定された現場へ。行方不明となったお年寄りの臭いが残る枕カバーを愛犬にかがせ、後を追った。

自分が育てた犬と一緒に社会の役に立てる

種本さんは高校卒業後、県外にある民間の警察犬訓練所で5年間修業。実家に戻り、シェパードを購入して警察犬に育て上げた。昨年は行方不明者の捜索に県内の指導手で最多の10回出動した。

福井県内の警察犬が行方不明者の捜索に出動した回数

種本さんの出動が多いのは、指導手が少ない上に所在地に偏りがあるからだ。今年の嘱託指導手7人は、敦賀署管内に3人、小浜署管内に2人と嶺南に集中している。一方、嶺北は種本さんと勝山市の男性の2人だけだ。

深夜や早朝の出動要請に備え、携帯電話を枕元に置き、ジャージーを着て眠る日々。種本さんは「自分が育てた犬と一緒に社会の役に立てる。やりがいのある仕事」と語る一方、「指導手が増えて、当番制になると助かるんだけれど」と苦笑いを浮かべる。

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