収益不動産を活用する独創的な「戦略」 ユニークな資本政策と株主重視の経営方針

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田中 秀夫
/代表取締役社長CEO

そこでADWは、12年と13年に続き3回目となる「ライツ・オファリング」で増資を行う。これは既存株主に無償で新株予約権(上場予定)を付与するもので、株主にとって投資の選択が広がる手法だ。

今回の提案は、今年7月12日時点の株主に、保有1株あたり1株分の予約権を割り当てるというもの。増資に応じたい株主は新株予約権を行使して現金を払い込むことで新株を受け取れる一方、増資に応じたくない株主は、証券市場で新株予約権を売却することも可能である。

一方この新株予約権を証券市場で購入し(購入期間は7月13日から9月5日)、それを行使することによって、新たにADWの株式を保有することもできる(新株予約権を行使して新株を購入できる期間は7月13日から9月12 日)。行使価額39円と新株予約権そのものの価額との合計を、その時点のADW普通株式の株価と比較して、判断することになるだろう。

感謝配当・優待ポイントなど、株主還元も充実

さらにADWでは、今年9月30日を基準日として、「感謝配当(中間配当)」を実施する。配当額は、今年3月期の0.55円の3倍にあたる1.65円。同社は、今回発表の「ライツ・オファリング」が3度目となることから「合計3回にわたる資金調達への協力に対し、1回あたり0.55円とした累計額という考え方」と説明している。

こうした一時的な株主還元策とあわせて、今後は中長期的な株主との関係構築も進めていく。昨年末、ADWでは、株主との対話を通じた企業価値向上を目指して、同社株主の大半を占める個人株主(約1万3000人)を対象にアンケート調査を実施。そこで「配当政策を重視する」86.5%、「コーポレートガバナンスの点から株主との対話促進の一環としてのサークル設置に関心あり」63%という回答結果が出た。

これを受けて、同社は新たに株主優待制度を導入する。保有株式数に応じてポイントを年2回、6月末と12月末時点の株主に付与。こちらも新たに創設する株主専用サイト「エー・ディー・ワークス株主クラブ(9月開設予定)」を通じてポイントを商品やサービスに転換することを可能にする。クラブ会員には、会社情報を積極的に発信するなどして双方向の対話を増やす予定である。

株式公開10年の節目を迎えたADWは、より魅力的な株主還元策で、投資家を引き付けながら、上場企業としてのメリットを生かした資金調達を進めようとしている。その資金で、日本の不動産の再生、個人富裕層の資産活用といった事業を飛躍させ、日本経済の活性化に貢献することを望んでいる

米国収益不動産販売事業
ADWは国内で創り上げたビジネスモデルを活かし、米国ロサンゼルスでも2013年より同様の収益不動産販売事業を展開している。米国の高い経済成長率を背景に、行き届いたビジネスモデルが顧客に受け入れられ、2017年3月期には連結売上高の13.3%を占める事業に成長した。
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