DMMが「最強IT集団」をルワンダで育てる意味 東大卒・タンザニア人社員に託された使命

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DMMが買収したヘヘ・ラボは2010年、創業者のイリバギザ氏が大学4年時に参加したハッカソンをきっかけに設立した会社だ(写真:DMM.com)

「向こう5年間でアフリカに100億円投資する」――。亀山敬司・DMM.com会長がそんな構想を掲げて早1年半、同社のアフリカ事業が東アフリカのルワンダ共和国を舞台に動き出している。

DMM.comは4月、ルワンダでソフトウェア開発・運営を行うHEHE LABS(ヘヘ・ラボ)の全株式を取得、商号をDMM.HEHEに変更した。 同時に、ルワンダで公共交通機関向けの電子マネー事業を行う AC GROUP(エーシー・グループ)に出資したことも発表した。

DMMといえば、アダルト動画配信をはじめ、通販、FX、英会話、オンラインゲームなど幅広い事業で年間売上高約2000億円を稼ぐネット企業だ。昨今ではシェアリングサービスやモノづくり支援など、次の成長軸を模索し、投資の範囲を広げている。アフリカ事業もその中の一つだ。

買収会社は現地で注目のベンチャー企業

DMMはなぜヘヘ・ラボの買収に踏み切ったのか。「最終的な目標は、アフリカでナンバーワンのテクノロジー集団を作ること。あらゆるサービスの立ち上げを経験しながら、何でも開発できる素地を身に付けていきたい」。DMM海外事業部のアレックス・カプング部長はこう説明する。

ルワンダの若手起業家の代表格であるクラリス・イリバギザCEO(左)とアレックス・カプング氏(右)(写真:DMM.com)

その中核的役割を担うために買収したのがヘヘ・ラボだった。創業者であるクラリス・イリバギザCEOは、米フォーブス誌「アフリカで最も将来性のある30歳以下の起業家30人」にも選出されるなど、ルワンダにおける女性若手起業家のアイコン的存在だ。

ヘヘ・ラボは2010年、イリバギザ氏が大学4年時に参加したハッカソン(ソフトウェア開発のエンジニア、デザイナーらがチームを組み、集中的に作業をするイベント)をきっかけに設立された。現地企業やNGOからの受託開発案件を中心に手掛けてきたが、今後は蓄積してきたノウハウを生かし、一般消費者向けのサービス開発に大きく舵を切っていく。

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