「家族が賃貸で突然死」は他人事では全くない

いとうまいこさんの一件で騒然

今回もう一つ、注目を集めていたのが、自然死に伴う費用に関する点だ。「フローリングの張り替え」「120万円払え」などと、高額の清掃費用を求められたようだが、これは適切なのだろうか。

「いとうさんのブログを拝見する限り、ご兄弟は自然死のようですので、過去の判例に示されているとおり、借家で入居者が病気などで亡くなることはごく当たり前のことという認識で、遺体が早期に発見されているような場合は通常の退去と同じ国土交通省のガイドラインに沿った精算方法となると考えられます」

早期に発見できていれば、通常の退去時の精算で良いという考えかたのようだ。一方で、発見が遅れ、遺体が腐敗していたような場合については、弁護士の間でも意見が別れるところだという。

「遺体が腐敗したことを原因とする汚れや臭いについては、借主側は負担しなくても良いという弁護士もいれば、入居者側が負担すべきだとする弁護士もいます。過去の判例では、孤独死で遺体が腐敗した場合、損害賠償は認めないが、原状回復費用の請求については認めている判例があります(昭和58年東京地裁)。いずれにしても原状回復費用の借り主負担については、今後の判例の積み重ねが待たれる部分となります」

つまり、死後の発見が遅れた場合、「どこまで原状回復をするか、貸主の負担はまだ未確定」というのが現状のようだ。実際、谷さんの事務所に寄せられる相談のなかで多いのは、「貸主側から請求されている金額が妥当なのかどうか?」というものだとか。

例えば自然死であっても遺体が腐敗したケースでは、貸主/不動産会社は次の入居者に告知をする必要がある。そのため、「全面リフォームしたので、新品でキレイですよ」と次の入居者へ伝えられるよう、自然死があった箇所とは関係ない部分もリフォームし、その費用全額を入居者側に求めるケースもあるという。

また、これはあくまで自然死のケース。自殺や殺人事件などは借り主の費用負担についても別の判断となるので、注意してほしい。

トラブル防止&突然死を発見するための仕組みとは?

では、上記のように、「原状回復費用として、高額請求された」といったトラブルになってしまった場合、どこに相談すればいいのだろうか。

「まず、話し合いの段階なら賃貸借に詳しい専門家や国民生活センター、行政で開催される法律の無料相談会などで聞いてみましょう。すでに“トラブル”の段階になってしまっていたら、『弁護士』や『司法書士』などの訴訟を代行できる専門家に相談を。こうした専門家を探したいがどこに聞けばいいのか分からないといった場合は『法テラス』や各地の弁護士会館などに聞いてみるといいでしょう」

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