「何もない」ゆるりまいさんの家を見に行く

モノが減って、ストレスも減った

部屋がきれいに片づくと空気まで変わる。「昔の家では窓の前に物がたくさんあって、窓を開けるだけでもひと苦労で、窓を開けたこともほとんどありませんでした。開けても風を入れたらチリやホコリが飛んだりして。同じ風でも、掃除が終わった後のきれいな空間を風が通ると部屋が浄化されるよう。何にも変えられない気持ち良さがあります」と話す。

心境の変化もあった。「物をもたない暮らしをする人には、物にあまり興味がない人と、物がものすごく好きな人と2種類いると思います。私の場合は、基本的に物がすごく好き。いらない物を捨てることで自分にとって大好きな物が見えてきて、大切にしたいと思うようになりました」。いらない物を捨てることで「なぜ買ったのか、なぜ捨てることになったのか」を反省し、買い物の失敗、無駄遣いが減るという経済効果もあった。

「安心・安全に住む」こと

玄関脇の収納スペース。非常用持ち出し袋、カセットコンロ、水のストック、猫たちのキャリーバックも確保。懐中電灯や乾電池などの防災グッズなどもまとめてある(画像提供/ゆるりまいさん)

そして、家の中をキレイに片づけておくことは「安心・安全に住む」ことでもあると、震災を経験して知ったゆるりさん。新居は、「災害のときに危険がない家、すぐ逃げられる家、すぐ物を取り出せる家」を心がけた。玄関脇にはいざというときに必要な物を、整理整頓して収納している。

熊本地震のときもだが、災害があるたびに「なんにもない暮らしを参考に物を捨てていて良かった」と何かしら感謝のメールをもらうという。「被災して家がなくなった自分の経験が誰かにつながっていることを考えると、自分の生活をさらけ出して書いて良かったと思います」

「捨てたい病」を発症し情熱と理想をもって「捨て道」を突き進んできた自称「捨て魔、捨て変態」のゆるりさん。「神経質そう、疲れそう」と想像する人もいるかもしれないが、名前のとおり「ゆるり」としたスタンスで、周りには穏やかできれいな空気が漂い、幸せオーラ、安定感が感じられた。物を持つ自由、持たない選択。どちらにしても、自分で管理できるだけの物を厳選して、丁寧に手入れして長く使うことが大事だと再認識した。「持つ、持たない」の線引きは人それぞれ、自分自身や家族と向き合い相談して決めることとしよう……。

(文:佐藤 由紀子)

●取材協力
ゆるりまいさん「なんにもないぶろぐ

 

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