「何もない」ゆるりまいさんの家を見に行く

モノが減って、ストレスも減った

はじめから家族全員を巻き込むのは難しく、まず自分のまわりから、ちょこちょこと地道に捨て始めた。「最初は捨てられないと思っても、捨てているうちに訓練されて『捨てるハードル』が低くなってきます。捨てることに慣れると、今度は『捨てても困らなかった』という成功体験が積み重なって、どんどん捨てられるように。そして家がきれいになることがどんどん楽しくなっていきます」。それこそ「捨ての良循環」というものだろうか。

キッチン用品はすべて収納の奥にしまってある。「料理は得意ではないのでこだわりがない」と話す。ボールは丼と鍋で代用するなど、最小限の物を使いまわす(画像提供/ゆるりまいさん)

「一気に大量の物を捨てることは、よほどの心境の変化やきっかけでもないと難しいですね」。家族全員に『捨てる』暮らしが及んだのは東日本大震災のとき。家は全壊し、家具は倒れ、物は崩れ落ちた。物は凶器となり、ほとんどの物が瓦礫になった。本当に必要な物だけを持ち出そうとしたとき、持ち物の1/10にも満たなかったという。物はたくさんあるのに欲しい物や必要な物がなかなか見つからなかった。さらには、新居に引越す際の荷造りの大変さから、家族も物を処分することをついに決意したという。

「捨てられない人は「絶対にこれは必要」と思いこんでいるふしがあると思います。『家にはソファがないとダメ。ソファがあって当然』と思っていると捨てられない。なければないでだんだん慣れてきます」

「捨てる」「とっておく」の選別は難しい。筆者のように捨てられない人は、捨てた後に「とっておけば良かった」と後悔するのが怖いのだが、ゆるりさんが捨てて後悔したのはひとつ。「そういえば捨てなきゃ良かったと思うのは、昔の家の門の鍵かな。アンティーク調のすてきなデザインで、もうどこにも売っていないので」。そういった貴重な物を除いて、ほとんどの物は捨てても買い直せるという。

家具がほとんどない家を実現

家を建て替える際、地震で倒れる可能性がある収納家具は置きたくないため、造りつけの棚、収納スペースをたくさん造ることを要望した。また、以前の家のキッチンは、寒い北側にある独立型で、調理している人が孤立していたことから、フルオープンではないが、料理をしている人に声をかけられるキッチンを希望した。「玄関から入ってくるお客さんからキッチンが丸見えになりますが、キレイにしようという緊張感があるのはいいかもしれないですね」

収納スペースを見せていただいたが、パラッと物が置かれていて、空間のほうが多い。家族全員の服や小物が重なった山が点在し、自分の物を探すのにひと苦労した『汚屋敷(おやしき)』時代の反省から、ひと目で全部見渡せる、どこに何があるかわかるクローゼットを実現したという。

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