売春で学費を稼ぐ貧困女子大生の悲しい現実 カラダを売らないと学生生活を維持できない

✎ 1〜 ✎ 20 ✎ 21 ✎ 22 ✎ 最新
拡大
縮小
菅野舞さん(仮名、20歳)はTwitterで「パパ活」をする(写真:編集部)
この連載では、女性、特に単身女性と母子家庭の貧困問題を考えるため、「総論」ではなく「個人の物語」に焦点を当てて紹介している。個々の生活をつぶさに見ることによって、真実がわかると考えているからだ。
今回紹介するのは、児童養護施設育ちで私立大学に通う20歳の女性。彼女は売春で学費と生活費を賄っている。

 

東京・池袋。中堅私立大学の夜間部に通う、菅野舞さん(仮名、20歳)と待ち合わせた。文化系サークルに所属し、昼間は中小企業でデータ入力のアルバイトをする。アルバイトは時給1000円だ。後期試験が終わった晩冬は、稼ぎ時となる。いつものように夕方までアルバイトし、さらに20時からお小遣いをくれる中年男性に会う。

「その男性に合わせるからわからないですけど、たぶんエッチもすると思いますよ」

この連載の一覧はこちら

彼女は当たり前のように、そう言う。風貌は茶髪、地味な服装で、どこにでもいる普通の女子大生だ。大学近くの家賃7万円のアパートに1人暮らし。親はいない。児童養護施設育ちで仕送りはなく、どうしてもおカネは足りない。悩んだ末に大学1年春から性風俗、そして2年から特定の中年男性を相手に売春する。

「仕送り」額は減少を続けている

彼女は今年1月25日にアップされた記事(21歳医大生が「売春」にまで手を染めた事情)を読んで、われわれに連絡をしている。

「あの医大生の女の子の記事に対して非現実的、ウソみたいなコメントがたくさんあった。私もそうですけど、今の大学生とか若い子たちの中では、効率的におカネを稼ぐ、稼がざるえないって環境って普通にあることじゃないですか。全然、特別なことではない。だから、私も今の状況を話したら、作り話とか言われるのかなとか。そういう興味で連絡しました」

現在、私大生の貧困は深刻だ。全学生の51.3%(平成26年度学生生活調査)が奨学金を借り、親からの仕送り額は減少を続ける。自宅外学生の親の仕送り額は、1994年の12万4900円から2016年には8万5700円と減少し(東京私大教連調べ)、仕送り額から家賃を引いた平均生活費は1日当たり790円となっている。

次ページアルバイトをしないと生きていけない
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT