すごすぎる!「入居者のための食堂」の実際

朝食100円、昼食・夕食が500円

「味はどう?」「部屋で困っていることはない?」

池田さんは毎日2度、3度と食堂を訪れ、来店中の入居者にあえてそうしたフランクな口調で話しかけます。

「多分、私は日本で一番『味、どう?』って聞いている不動産屋なんじゃないかな(笑)。もちろん気軽に話したくないという方もいらっしゃるので、人に応じた距離感を保つように努めていますが、入居者の皆さんとコミュニケーションをとることはとても大切なことだと考えています」

「顔が見えるということは、人と人との関係を築く上で重要です。顔の見えない『不動産屋と入居者』だと、かしこまった間柄のままですが、お互いの人間性が見えれば、心がつながる。物件を管理したり、快適に暮らしていただいたりする上で、そのつながりがとても役立っています」

「部屋は大丈夫?って聞くと、『そういえば、設備の調子がイマイチで……』と生の声が直接返ってくるので、その物件全体の管理にも役立っています。当社は何か問題があれば直接現地へ赴いて迅速に対応するサービス体制など、入居者の利便性や信頼を高める工夫をしていますが、日常的な交流があることで、担当者をより信頼していただけるのではないかと感じています」

食堂の利用者はどんな人たちか

では、池田さんが交流を深めている食堂利用者には、どんな方々がいるのでしょうか。

「ここは、席が空いていればコーヒー1杯でずっといていいよっていう食堂。何時間も試験勉強やレポート作成をしている学生さんも多いですし、閉店後まで大きなテーブルで美術の課題を仕上げていた学生さんもいましたよ。彼女の課題のモチーフは何とここ『トーコーキッチン』でした(笑)」

「お客様第1号は賃貸物件のオーナーさん。一人暮らしのご高齢の方で、自炊だとついつい味が濃くなってしまう。最初はここの料理に『この味薄くないかい?』っておっしゃるほどでしたが、塩分量を考えた食事をここでとって頂いたことで、健康な食生活を送るきっかけになったようです」

「夏休みには、5年生くらいでしょうか、小学生のお子さんが1人で週3回くらい300円の日替わりキッズプレートを食べにきてくれて、仲良くなりました。親御さんは共働きで、昼間はその子が家で1人になってしまう。親御さんにとって、ここは安心してお子さんに食事を提供できる場所と考えていただけたようです」

「朝、朝食をとり、コーヒーで一息ついてから、仕事に出かける働くお母さんもよくいらっしゃいます。仕事に子育てに頑張って、そして疲れたときにはいつでも利用していただければうれしいですね」

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