「マンション価格推定サイト」が増えるワケ

どう利用すべき?

――価格推定には、どのような要素が影響を及ぼすのでしょうか? 同じ中古マンションでも各社で推定結果が異なることもあるようです。

わが国の中古マンションの価格については、「立地」と「築年」、それから「広さ」と「方角」がそのほとんどを占めるようです。それに、各社何らかの調整をかける。同じマンションでも、ある会社のサービスでは、階数・方角・広さで推定価格を出したり、別の会社のサービスでは、具体的な部屋毎の価格を推定するものもあるなど、違いはあるようです。

これらは、過去の取引情報というビッグデータを統計処理で解析して求められています。

ただし、ほんとうにそれだけで良いのか、消費者は満足するのか、という疑問は感じています。これからは、例えば、アメリカではそうであるように、公園が近くにある、いいバーがあるなどといったアメニティの充実度が価格に反映されるべきだろうと考えます。子どものいる家庭では、その住所はどの小学校区なのか……などの情報も重要になってくるでしょう。また、マンションであれば、修繕や管理の良し悪しなどは、情報としては盛り込まれていない。今後はこうした情報も取り込んでいく余地があるでしょう。

――アメリカ、イギリスなどでは不動産価格の変動は大きいと聞きますが、日本では地域の違いや将来価値の変動などは、どのように影響するのでしょうか?

日本は、欧米ほど時系列で不動産価格の上下動はありません。価格変動が静的だと、その分、価格を当てやすい側面はあります。ただし、日本では同じ地域でも物件によって価格の差が著しくあるのが特徴です。同じ地域で、豪邸の横に小さな質の悪い住宅が建っている場合があります。欧米は、地域の特性が価格を牽引する要素が大きくて、高級住宅地であれば、同じようなレベルの住宅が同じように建っています。日本は、そうではない。日本では地域のなかでの価格相場のばらつきが推定のうえでは難しいと言えます。

――価格推定サービスは首都圏の人口密集している地区で行われています。今後、これらは全国また一戸建てにも波及していくのでしょうか?

不動産取引の情報がある程度充実している関西圏などにはすぐに広げることが可能でしょう。国がすすめようとしている住宅診断(インスペクション)の普及が今後進んでいき、また、不動産取引の情報が整備されていけば、全国・一戸建てにも広げていくことは可能だと考えられます。

不動産取引円滑化・透明化のひとつの手段

――価格推定サービスの留意点、課題や展望についてはどのようにお考えでしょうか?

過去の取引事例をIT技術による統計解析を行って価格を導き出すだけでは、なかなか消費者に評価されるようにはならないのではないかと考えています。

先に話した、マンションの管理状況だけでなく、例えば省エネ性能や、長期優良住宅に認定された住宅、旧耐震の住宅など、住宅の性能の優劣に応じた適正な価格推定を行うなど、消費者に不動産に対する知識を深める手助けをして、きちんと評価されるようなサービスとしていくことが大切でしょう。

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