「マンション価格推定サイト」が増えるワケ

どう利用すべき?

各社がこぞって不動産価格推定サイトを開発した理由は2つあると考えられます。

1つ目は、不動産業側からのニーズです。不動産仲介の業務行程のなかで、まず、不動産を売却しようとする顧客と接点を持ち、売却の依頼を獲得することが重要になります。不動産仲介には、「売り側の仲介」と「買い側の仲介」の2つがあります。売り側の仲介を依頼されれば7〜8割は成約に結びつけられると言います。買い側の仲介の成約が3割以下と確率が低いことに比べると、不動産会社は、売り手にアピールして顧客を獲得したいと考えます。そこでこの価格推定サイトが、売主獲得のための営業ツールとして役立つというわけです。また、ソニーがIT技術をバックに不動産業界に参入したことも大きかったでしょう。

 

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売主側の仲介の方が成約率が高いと言われている(SUUMOジャーナル編集部作成)

もう1つは、日本の不動産消費者の意識が大きく変わってきたことです。リフォーム、リノベーションが注目されるようになり、住宅取得者がそれまで新築一辺倒であったのが、中古住宅にも目を向けるようになってきました。

国が「中古住宅・リフォームトータルプラン」を掲げ、中古市場・リフォームの活性化を進めていますが、この流れに乗って消費者の意識も変わってきたということです。そうすると、これまで不動産会社しか知り得なかった中古不動産価格について、一般の消費者に価格の見える化が図られることはメリットと言えます。売り手が知りたいのは、自分の売ろうとする不動産が幾らで売れるのか。価格によっては、ローンの残債が残るのかどうか知りたいところです。

メリットは売却・成約までの期間短縮

――価格推定サービスがあることで、消費者にはどのようなメリットがあるでしょうか?

不動産を売りたい人からは、「売れるまでの期間が短縮できる」という効果が期待できると思います。例えば、従来は売りに出してから4カ月くらいかかっていたとすると、それが例えば1〜2カ月で決まる……ということです。

まず、売主は、仲介を依頼する不動産会社を選ぶ際に、高く値付けをしてくれる会社を選びがちです。仮に本来は2500万円でしか売れない物件であっても、相場を知らないと「3000万円で売りに出しましょう」と高く言ってくる会社に依頼します。そうすると、なかなか買い手が見つからない。会社に言われるがままにジリジリと値を下げて、その挙げ句に2500万円で売却が成立するまで数カ月を要するというわけです。

買う側も、価格推定サイトで示された客観的な推定価格を踏まえて物件を評価できます。そのうえで、仲介サイトにある物件の情報や写真を参考にすれば、従来であれば10軒内見したうえで購入を決めていたところを、半分の内見で決断ができる。探して決めるまでのサーチコストが下がります。

つまり、中古不動産価格について不動産会社だけが知り得ていた従来に比べ、売主、買主ともに価格に対する比較的精緻な情報が得られるようになり、「この価格が妥当なのか」という不安が解消され、成約までの期間が短くできるというメリットがあります。

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