「運転手の心拍数を送信」する衣類の可能性

交通事故防止へ京福バスで実験

実証実験に取り組む京福バスの運転手が身に着ける衣類(NTT提供)

京福バス(福井市)は10月から、「モノのインターネット(IoT)」で交通事故を防ぐシステムの実証実験に協力する。運転手が機能素材の衣類を身に着けることにより心拍数などがリアルタイムで分かり、疲労具合や、急ハンドル、急ブレーキといった車の動きの情報も含めて総合分析する仕組み。運転中の安全管理を運行指令室など遠隔地から行うことができ、事故を未然に防止する。相次ぐバス事故を解決する手段の一つとして、注目を集めそうだ。

NTTとドイツのソフトウエア企業「SAP」の共同プロジェクトの一環。NTTと東レが開発した機能素材を使った衣類と、SAPのアプリ「CTS」を組み合わせたシステムで、運転手の動作や車両の動きのデータを収集して、CTSで分析する。さまざまな情報をリアルタイムで共有できるのが特長で、指令室から運転手に休憩を促すなどして事故を防ぐ。来年1月の同システムの提供開始を予定している。

安全管理を営業所からリアルタイムで行える

福井県での実証実験は、SAPの日本法人「SAPジャパン」の社員を鯖江市が職員として受け入れるなどした縁で決まった。同社の担当者は「京福バスは短距離から長距離までの路線があり、バスの位置情報をインターネット上で公開する先進的な取り組みをしており、パートナーには最適」としている。

実験では10月中旬と11月上旬、京福バス福井営業所管内の運転手約20人分のデータを1週間ほどかけて収集。システムの基礎資料として活用する。同社の担当者は「送り出した後は運転手任せだった安全管理を、営業所からリアルタイムで行えるようになるのは利点が多い」と期待を寄せている。

多数の死傷者が出るバス事故が近年目立っている。今年1月に長野県軽井沢町で起きた事故では15人が死亡した。同年3月には、京福バスの高速バスが滋賀県内でトラックに追突するなどして、8人が重軽傷を負った。政府は26日召集の臨時国会に、貸し切りバス事業者の安全対策を強化する道路運送法改正案の提出を予定している。

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