玉音放送阻止に動いた、元近衛兵痛恨の記憶

クーデター未遂「宮城事件」体験者が語る

宮城事件について「慙愧に堪えない」と振り返る元近衛兵の吉田巧さん=10日、福井市内

終戦に反対し、徹底抗戦を唱えた一部の陸軍将校らが玉音放送の録音盤を奪って放送を阻止しようとしたクーデター未遂事件「宮城(きゅうじょう)事件」。元近衛(このえ)兵の吉田巧さん(93)=福井市=は71年前の8月15日未明、偽の命令によって録音盤を探し回った兵士の1人。「陛下をお守りする部隊でありながら陛下に逆らう行為だったことに、その時は考えもつかなかった」と、命令に疑問を挟まず唯々諾々として従った事件を「慙愧(ざんき)に堪えない」と振り返り、不戦への思いを新たにしている。

全国から選抜された近衛兵は天皇、宮城(皇居)の警護に当たった。吉田さんは徴兵検査の「甲種」に合格し20歳だった1944年、近衛歩兵第2連隊に入隊した。訓練などを経て皇居に入ったのは45年の6月末。東京の空襲も激しくなり、上空を飛び交う米軍爆撃機B29を警戒し、焼夷(しょうい)弾が落ちてこないか監視していた。

命令に従って宮内省に突入

宮城事件について吉田さんは「『録音盤を探せ』という命令に従って大勢で宮内省に突入した。しかし庁舎内は広く、どこから探せばいいのか雲をつかむようなものだった」。引き出しや金庫をひっくり返し、必死だったという。

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