「シン・ゴジラ」が人々を惹きつける真の理由 成功の要因はエヴァとのシンクロだけでない

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全国東宝系にて公開中の『シン・ゴジラ』。3週目で興行収入は30億円を超えた ©2016 TOHO CO.,LTD.

「新世紀エヴァンゲリオン」シリーズの庵野秀明が脚本・総監督を務める『シン・ゴジラ』が大ヒットを記録している。すでに映画を観た観客からは、熱量の高い絶賛の声が多数寄せられており、リピーターも続出している。

同作は、2004年の『ゴジラ FINAL WARS』以来、およそ12年ぶりの「日本版・ゴジラ」となるが、7月29日の公開から3週目にして早くも動員230万人、興行収入33億円を突破。これは2014年のハリウッド版『GODZILLA ゴジラ』の最終興行収入32億円を突破する数字だ。

このペースでいくと、庵野が手がけた映画の中でも最大のヒット作となる『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』(2012年)の最終興行収入53億円を超える可能性は高い。東宝の単独製作で、同社にとっても社運をかけた大プロジェクトのひとつだが、十分結果を出しているといえるだろう。

「エヴァンゲリオンを意識したゴジラ作品」「多数の豪華出演陣」など同作のヒットの要因はいくつもあるが、その中で「公開前の徹底した情報統制」「徹底的にこだわったリアルな描写」「庵野イズムを徹底させるためのワークフロー」という点に注目した。

情報統制で公開前の期待感をあおる

『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』公開時にも、徹底した情報統制を敷いていた庵野だが、そのスタイルは東宝作品となる本作でも踏襲している。

7月25日、新宿・歌舞伎町で行われた同作のレッドカーペットイベントでも庵野は「東宝にしては珍しいくらいにいろんなことを秘密にしていますが、僕は純粋に先入観をなくして観ていただきたいだけ」とその理由を説明していた。実際に、公開初日を迎えるまでは、関係者および、一部マスコミを除いて映画の全体像を知るものはほとんどいなかった。

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