子なし女性への悪意なきハラスメントの実態

山口智子さんの発言はなぜ共感を呼んだのか

現在、「いろいろな場面での『嫌がらせ、いじめ』」を「ハラスメント」と総称しているが、一般的には「他者に対する発言・行動などが本人の意図には関係なく、相手を不快にさせたり、尊厳を傷つけたり、不利益を与えたり、脅威を与えること」を指している。つまり、「嫌がらせしてやろう」という意図がなくても、場合によってはそれがハラスメントになることがあるのだ。

以下で述べるような理由により、ノンママに対するハラスメントの中には、この「悪意なきハラスメント」が大きな部分を占めている。それは、「子どもを持つことはすばらしい」という価値観があまりにも世間に浸透していること、またノンママ自身もその価値観を否定はしていないので、たとえ相手の言葉で傷ついても「そんな言い方、やめてください」と言い返せないことが理由と考えられる。

ここでは、そのように光があたりにくいままであったノンママ・ハラスメントを、あえて掘り起こして述べていきたい。

「子育てはすばらしい」と強調されると…

まずは目に見えるハラスメント。子どものいない女性に対する、言葉や行動によるハラスメントである。

ノンママに対する言葉のハラスメントとしては、次のようなものがある。露骨なものから順にあげてみよう。

「子どもはまだ?」

「子どもを産んで女ははじめて一人前」

「あなたのように子どもを産まない人が日本の少子化を促進させている」

「ご両親もお孫さんを待っているんじゃない?」

「子どもがいないなんてかわいそう」

「子どもがいない人にはわからない」

「子どもがいないのは女性の機能をムダにしている」

これらは相手に「子どもがいない」ことを踏まえて、そのデメリットなどを指摘した言葉だ。中にはもう少しやんわりと「子どもを持つこと」のすばらしさを強調することで、

「子どもを持つべきだ」というメッセージを伝えてくる人もいる。

「私も子どもを持ってはじめて人間になった」

「子どもがいなかったら人生の喜びは半分以下だった」

「子どもがいなかったら、と想像するとゾッとする」

もちろん、これらの言葉にはノンママであることを批判する意味はなく、ひとえに「子どもや子育てはすばらしい」と賞賛したいだけなのかもしれない。

次ページ「子どもを産まない人生」を公言した山口智子さん
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