貧困を脱した35歳女性が絶対に伝えたいこと 「IT業界では、学歴は関係ない!」

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養護施設で育ち、現在はマンションを購入して安住の地を得た、平田綾さん(35歳、仮名)
この連載では、女性、特に単身女性と母子家庭の貧困問題を考えるため、「総論」ではなく「個人の物語」に焦点を当てて紹介している。個々の生活をつぶさに見ることによって、真実がわかると考えているからだ。
今回紹介する女性は、「貧困からはい上がった立場として、現状貧困に苦しむ方が何か希望を持つきっかけを作ることができれば」と編集部にメールを送ってくれた「元貧困者」だ。彼女は、いったいどのようにして、貧困から抜け出したのか。

 

横浜の中心である横浜市中区、JR駅徒歩3分ほどの新築マンションに平田綾さん(35歳、仮名)は住んでいる。横浜の一等地にある新築分譲マンション、DINKs向けの1LDK、価格は2800万円と高額だ。平田さんは貯金500万円を頭金にして、変動金利の35年ローンを組んだ。現在は毎月6万円台の住宅ローンを支払っている。

「持ち家を欲しかったのは、児童養護施設育ちで自分の家にあこがれがあったことが理由です。定住できる場所が欲しいという気持ちが強かった」

平田さんはバツイチ、現在はシステムエンジニアとして外資系の企業に勤める。年収は500万円ほど。引っ越して1年のマンションはとにかくきれいで、最新型のキッチンやLED照明機器が設置されている。部屋の片隅には数台のベースギターが並べてあり、ポールマッカートニーも愛用したリッケンバッカ―のベースギターは25万円を超える極めて高価なものである。

平田さんは貧困家庭で生まれ、小学校6年生から児童養護施設で育ち、ゼロからのスタートで絶望的な貧困から抜けだした女性である。

おカネがなくていつもひもじかった

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「両親は物心がつく前に離婚して、母親と祖母と私の3人暮らしでした。家は小さな木造アパート。収入は母親のパートと父親からの養育費くらい。詳しいことはわからないけど、家計は火の車状態だったと思う。おカネがなくて3日くらいなにも食べなかったとか。子供の頃にそういう記憶があります」

平田さんは東洋経済オンラインにメールをくれた女性だ。“私は過去(子供時代~20代前半)に貧困を経験した立場です。おこがましいですが、貧困からはい上がった立場として、現状貧困に苦しむ方が何か希望を持つきっかけを作るお手伝いができれば幸いです”と書いてあった。見た目は年齢よりだいぶ若く、過酷な貧困を経験した経歴は、外見からはわからない。

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