医学部受験に専門予備校が必須ではない理由
合否を決めるのは到達点と完成度だけだ
さらに、「医学部の入試に精通している講師・先生が教える」からという建前で、通常の授業料の倍以上(時には数十倍)の高額な授業料を設定しているのが、「医学部専門予備校」や「医系特別コース」の実態だ。医学部の入試に、なんら大きな特異性もないのに、いったい何に精通しているというのだろうか?
医学部専門予備校と普通の予備校に違いがないことは、ご理解頂けたと思う。そのうえでの話だが、どの大学の医学部も、極端に狭き門であることはいうまでもない。他の学部に比べ、格段の受験勉強が必要なことは誰でもわかる。より完璧に、より密度濃く、取りこぼしのない緻密な勉強によって、高い完成度・習熟度が求められている。
医学部だからといった特異性はなくとも、当然、志望大学の過去問を徹底的に分析し、出題傾向に合わせた受験対策が必要になる。
「医学部受験に特化した対策をしています。専門の講師がいます」とうたっている予備校は眉唾物だが、(学部にかかわらない)志望校別の対策は必要になる。それも、他学部とは比較にならない完成度・習熟度が求められる医学部受験だから、生半可な努力では合格できない。
結論からいうと、国公立大学の医学部に合格するためには、センター試験で最低でも85%から90%の正答率が求められることになる。さらにこれは第2章で詳述するが、医学部の偏差値を見ると、60台のところが多い。他の学部に比べると、極端に高い数値とはいえないようだが、実はこれがとんでもない数値なのだ。
医学部受験者は、最低でも全受験生の中の上位10%以内といえる。その医学部受験者の中での偏差値だといえば、ご理解頂けるだろうか? 上位10%の中での偏差値60台ということなのだ。
これは、医学部受験を断念させるつもりで書いているのではなく、命がけで挑戦するにふさわしい学部だということだ。しかも、勉強方法さえ誤らなければ、努力の積み重ねで突破できる、栄光の門でもある。
到達点、完成度だけが医学部の合否を決める
とはいえ、これだけは繰り返し強調しておかなければならない。医学部に合格するということは至難の業なのだ。トップクラスの受験生が、大挙して医学部受験に挑戦する。親が開業医だった場合など、事業の後継者になるための最低必要条件でもあるから、その真剣さ、必死さは他の受験生とは比べられない。
医学部受験だからといって、特別の問題が出る訳ではないが、競争が激しければ激しいほど、すべての科目の完成度が求められ、ケアレスミスや取りこぼしが命取りになる。
先に、「医学部専門予備校」や「医系特別コース」が意味を持たないと書いた。ところが私自身、「武田塾メディカル」なる塾を立ち上げた。
矛盾するようだが、受験する全科目の完成度を高め、ケアレスミスや取りこぼしをなくす学習塾として、「武田塾メディカル」を特化している。
出題問題の難易度という意味ではなく、合格の難易度(困難さ)の高い医学部受験には、徹底して完成度を上げ、すべての弱点を克服するための、特別な指導体制が必要だと思ったからだ。このことは本書の後半で詳述したい。
さらに言うと、別に武田塾メディカルに入る必要はない。この本を読み、武田塾のHPで、勉強方法を身に付けて欲しい。それだけで医学部に合格できる人が数多くいると思う。見せかけの「医学部専門予備校」や「医系特別コース」に振り回されることなく、武田塾方式で、一人でも多くの医学部合格者が出ることを願っている。
幻冬舎plusの関連記事
皆に愛されているか ― 運命について
すきま時間には完結できる仕事をやる
ネット記事を読み捨てで終わらせたくない書籍編集者の性質【電子書籍制作日記】