自前主義の会社は技術の変化に対応できない

日本のモノづくりの現場で起きていること

渋谷:メーカーと派遣技術者は、切っても切れない関係なんですね。

佐藤:そうです。わかりやすい例を挙げると、いまの自動車はITやエレクトロニクス技術の塊ですが、自動車メーカー一社だけでは、それらの技術に全て対応するのは困難です。だから、我々のようなアウトソーサーから技術者の派遣を受けるのです。さらに付け加えると、開発の現場には秘密がたくさんあります。言葉は不適切かも知れませんが、それをいつ辞めるかわからない登録型の派遣社員に任せるわけにはいかない。その点、技術者派遣会社の正社員ならば安心して任せることができます。

あらゆる分野で派遣技術者が求められている!

テクノプロ・ホールディングス 佐藤博氏

渋谷:派遣技術者という働き方は、メーカーにとっても働く側にとっても安心できる働き方なのですね。だから、あらゆる業種が派遣技術者を受け入れている。

佐藤:おっしゃる通りです。当社の場合、カバーする技術分野が多岐に渡っているので機械、電気、電子、情報システム、化学、バイオ、建築、土木など、文字通りあらゆる業種のお客様がいらっしゃいます。

渋谷:僕も取材して驚きました。自動車の完成車メーカーから部品メーカー、航空機メーカーなどありとあらゆる業界で派遣技術者の方が活躍されていますよね。

僕は、派遣技術者が活躍する場は今後さらに広がり、求められるニーズも高まっていくだろうと思っています。その一例としてIoT(「モノのインターネット」)があります。例えば、スマートキー。これはスマートフォンをかざすと解錠できたり、遠隔操作で施錠できたりする技術です。規制の問題はあるものの、米国などではどんどん普及していますし、日本でも民泊との関係で需要が増えていくはずです。ところが、カギを作るメーカーがスマートキーを作れるかといえば、残念ながら難しい。IoTの技術を持った技術者が足りないからです。でも、キャッチアップしないと生き残れない。

佐藤:そこで派遣技術者の出番というわけです。

渋谷:少し前にトヨタ自動車が自動運転の研究開発で、自前主義へのこだわりを捨て、農業車両などの自動運転を手掛ける米企業から16人の開発チームを丸ごと自社に引き抜いたと報道されました。チームの配属先はトヨタが米カリフォルニア州のシリコンバレーに設立したAI研究所「トヨタ・リサーチ・インスティテュート」(TRI)で、年俸は1人1億円との報道もあります。トヨタ自動車でさえ、自前主義を捨てて外部の人事を登用しないとIoTの進化にキャッチアップできないという危機意識を持っています。

とはいえ、どこの会社でもトヨタ自動車のように優秀な人材を引き抜くことはできません。優秀かつ即戦力になる技術者へのニーズが高まるなか、派遣技術者の方々が活躍する場と可能性は、急速に高まっていると考えています。

(つづく)

(インタビュー・構成:大山弘子、撮影:宇壽山貴久子)

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