「トランプvs.ヒラリー確定」に漂う不穏な空気

まだまだ筋書きのないドラマが待っている

そんな中で、サンダース陣営は、最後に6月7日に予定されているカリフォルニア州予備選まで粘り続ける構えだ。サンダース陣営は、ヒラリー候補が「マジックナンバーに届く」かどうかは問題ではない、としている。というのは、ヒラリーの絶対的優位は「スーパー代議員制度」、つまり「党幹部の個人票」が支えていることによるのだが、サンダースはそこに手を突っ込むと宣言しているからだ。

実は、ヒラリーが現在獲得している2240の代議員数のうち、502はこのスーパー代議員の「支持」を獲得したものだ。では、サンダースはというと、このスーパー代議員からは41しか支持を得ていない。サンダース陣営によれば「スーパー代議員制度はワシントンの政界秘密クラブ」であり、そこでのヒラリーへの圧倒的な支持は「談合であって民意を反映していない」というのである。サンダース陣営が予備選結果をほぼタイに持ち込んだ上で、こうした主張を始めると、7月にフィラデルフィアで行われる民主党の党大会が混乱する可能性もある。そこまで行かなくても、党として、そしてヒラリー候補のイメージダウンは避けられない。

一方の共和党内でも「不穏な空気」がまだ続いている。

共和党内に漂う「不穏な空気」

5月3日から4日の「トランプが事実上の統一候補に確定」という展開を受けて、あらためて「ブッシュ父子、ライアン下院議長、ロムニー、マケイン」といった顔ぶれは、「トランプ不支持」を打ち出している。

こうした状況についてトランプは激怒しており、メディアは早速「内戦本格化」などと囃(はや)し立てることとなった。5月12日(木)には、ライアン下院議長とトランプが直接会談を行うということで注目が集まったが、結局「建設的な意見交換ができた」と双方から発表があったものの、ライアン下院議長は、ここでも「トランプへの支持」を見送っている。

こうした雰囲気を受けて、トランプと一緒に選挙は戦えないという共和党主流派には、「保守系の無所属候補の擁立」という話が今でも出たり入ったりしており、何とも不透明なムードが漂っている。要するに、民主、共和ともに「1位候補が不人気」だが、両党ともに「1位降ろしはテクニカルにほぼ困難」という現状があり、にもかかわらず「反対グループが抵抗を止めていない」現状がある。要するに両候補ともに、党内を全くまとめ切れていないのである。

そんな中、トランプ候補は「最低賃金アップ」+「富裕層課税強化」といった左派寄りの政策をチラつかせて、サンダース支持派の取り込みを図っている。富裕層の代弁者であるヒラリーよりは、自分の方が「庶民の味方」だから「こちらへ」というわけだ。その結果として、「ヒラリー対トランプ」という本選対決を想定した世論調査の中には、トランプの数字が好転しているという結果も見られるようになった。残り6カ月を切った大統領選は、まだまだ筋書きのないドラマが待っていそうだ。

(文:冷泉 彰彦/作家・ジャーナリスト)

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