熊本地震「善意を潰す不謹慎狩り」は大問題だ 無自覚な"ネット自警団"が日本をダメにする

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南阿蘇の被害の様子(撮影:関口威人)

先日、熊本出身の知人が主催する食事会が、都内のとある熊本料理店で開催された。会費は2000円。シンプルな郷土料理を少しばかり楽しみ、次々に現れる仲間のためにサッと店を出る。気持ちばかりのハットチップを添えて――。

筆者はあいにく、この飾り気のないイベントに参加できなかったのだが、終始和やかで愉しい時間を過ごしたとの声が届いた。

現実社会でつながる仲間内の、こうした気の利いたイベントには、震災で必ず登場する「自粛」「不謹慎」というふたつのキーワードを掲げたツイッター自警団の影響力が及んでくることはない。

しかし、ツイッターにはタイムラインを監視しながら自警団的活動をするアカウントが数多くある。

大活躍する「不謹慎自警団」 

東日本大震災時、毎日閑散とした飲食店や物販店をみて「毎日、美味しく外食を食べるぞ!閉じこもらずに、身近な行き付けのお店に行こうよ」とツイッターで声をかけたことがある。多数の批判をいただいたが、はるか遠くロンドン在住のご婦人に「不謹慎」と言われたのには驚いた。

こうした「不謹慎自警団」は、熊本の震災でも(特にツイッターの中では)目立っている。

”ゲーム機を買った”とツイートすれば「熊本の子ども達は遊びたくても遊べないのに、いいご身分ですね」と返し、友人との会食写真を掲載すると「熊本ではみんな食べたいものを食べずに我慢しているのに」と攻撃してくる。

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