「おそ松さん」が意外な人気を得た3つの理由
これは古くから変わらない普遍的なテーマだ

2015年10月よりテレビ東京他で放送された深夜アニメ「おそ松さん」がブームとなっています。2016年1月に発売されたブルーレイ&DVD第1巻が発売初週で8万枚を売り上げたほか、各種タイアップや800種類にもおよぶグッズなどが人気となり、その市場規模は70億円にも広がるという試算もあるほどです。
その人気はコアなアニメファンにとどまらず、野球の日本代表「侍ジャパン」とのコラボレーションや、女性向けファッション雑誌『anan』(マガジンハウス)の表紙・巻頭グラビアを飾る(5月11日発売予定の号)など、世代や性別を超えた広がりを見せはじめています。
夜中の1時過ぎに放映されるアニメーション作品が、なぜこれほどの社会現象を引き起こしているのでしょうか。その背景となる作品の魅力について考えてみたいと思います。
コンテンツとして楽しめる6つ子の人間関係
原作者である赤塚不二夫の生誕80周年をきっかけに企画された本作は、1960年代に『週刊少年サンデー』で連載された漫画「おそ松くん」のリメイクです。
「おそ松くん」は1960年代と1980年代の二度にわたってアニメーション化されていて、そのたび大きな話題となってきました。人気キャラクターであるイヤミによる「シェー」やエンディングで細川たかしが歌う「おそ松音頭」は広く親しまれており、懐かしい気持ちでこれらを思い出す読者の方も少なくないでしょう。しかし、旧作の印象は今回のブームの全体像をむしろ分かりにくくするので注意が必要です。