やっぱり多様性から程遠い日本人の消費志向

クロナッツがNYから世界へ広がった理由

あれだけ売れていれば、どこかのオーブンを借りて生産数を増やすことも、当然、可能だったはずだが、アンセルさんはそうしなかった。

作れる数が少ないということは、必然的に、ニッチな消費市場をターゲットにするという判断になる。

それでうまくいくのか? うまくいく。ドミニク・アンセル・ベーカリーは、むしろ、ニッチな市場で、熱烈なファンや支持者を増やす道を選択し、その結果、さらに大きくブレイクした。マス市場を狙って生産量を増やすのではなく、自分たちにしか作れない独創的で個性的なオリジナル商品の品質管理や新商品の開発に集中。その姿勢が、このお店自体の評価をますます高めることになった。

しかも、その名声やブランド・イメージは、全米、全世界に広がった。

日本国内にも、その影響は及んでいる。例えば、2014年4月1日から、日本国内のミスタードーナツが、ミスド版クロナッツの販売を開始すると、わずか6日で100万個を売上げてニュースに

さらに、同年5月13日から、今度は日本国内のローソンが、全国の店舗でローソン版クロナッツの販売を開始すると、わずか3週間で累計340万個を突破する爆発的な売上げを記録。これは、ローソンで販売されたクロワッサンとドーナツ関連商品の中で、1975年から歴代第1位の売上げだという 。まさに「ニッチからマスへ」。

こうしてニューヨークの街角にある小さなベーカリー・カフェは、世界の名店の1つになった。一度、これだけの名声やブランド・イメージが確立されれば、その後、何を仕掛けても、がっしりと心をつかまれたファンや支持者はもちろん、各種メディアも注目してくれる。

新商品が発表されるたびに、メディアで話題になる

実際に、ドミニク・アンセル・ベーカリーでは、その後、フローズン・スモア(Frozen S’more)など、いくつもの独創的でユニークな新商品を発表しているが、その都度、各種メディアで話題になっている。

「ニッチからマスへ」という考え方が、ニューヨークのような「多様性」溢れる消費市場では、いかに重要かということが、なんとなくにでもお分かりいただけただろうか?

これでもまだ「イマイチまだピンとこないなぁ」とか、「ニューヨークの市場特性はなんとなく分かったけど、でも、最初から大量に売れないと本社がやらせてくれないんですよ」などという方もいらっしゃるだろう。

なぜなら、日本国内では、ニッチなマーケットを狙うより、大勢の人々が買い求める、大衆ウケする「流行」の品々や「売れ筋」を追随したり、便乗すれば売れるという考え方が昔から広く定着しているためだ。

なぜ、こういう発想になりがちなのか。その点を次回では日本国内の状況とあわせて考えてみたい。

(文:りばてぃ/エキサイトブログ公式ブロガー)

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