中国を「虚像」でしか見ていない日本人の盲点

「爆買い」のテレビ取材はなぜ紋切り型なのか

開沼:今もですか?

:今もですね。もちろん学生運動などは、天安門事件があってタブーになっている部分が多いんですけれども、革命という言葉自体にはポジティブで変革のあるもの、というふうに認識している人が多いんじゃないかなと思います。

私も学生時代にはぜんぜん感じなかったんですけれども、日本で社会人になってから、「全共闘がもっとやってくれれば、もっとダイナミックで面白い日本になったんじゃないか」と思うこともあったりします(笑)。

文化大革命はまったく駄目だったと思うんですけれども、当時の紅衛兵みたいな何も経験していない、高校を出たばかりの若者や大学生が権威を倒すことを普通に簡単にできたところは、強いて言えば、ポジティブな部分もあったかなと思います。日本では権威というものは、未だに巨大な存在なんだなと感じますね。

開沼:そこの感覚は面白いですね。こちらから見ていると、中国って権力・権威が強いというイメージがありますけども、そういう逆の発想もできるわけですね。

革命自体に対して抵抗があるとは考えていない

:でも、中国は数千年の歴史で、皇帝の一族はいろいろ変わったじゃないですか。日本の天皇家は変わってない一族であることは、中国人にとってはたぶん信じがたい事実です。もちろん今の共産党は強力な政府ですけれども、共産党の内部でもいろいろ変革もあるし、革命自体に対してはそこまで抵抗のあるものだとは考えてはいないですね。

開沼:日本人はしょっちゅう政権交代とか行政改革とか、そういう小さな変革には何か希望を持ってポジティブに捉えますよね、内実を見ずにね。でも革命、体制転覆みたいなものには大きな抵抗感をもってしまっている人が多い。それが中国だと、ぜんぶ取り替えていくというのは、「まああり得ることだから」みたいなイメージがあると。

:そうですね。

開沼:文化大革命については、60年代、日本の一部の層ではあるが過度に理想化した部分があった。70年代は、それがパンダに移り変わったという分析ですが、僕たちの世代になると、文化大革命なんて分からないという人が、たぶん大方です。そこは中国だと、文化大革命も天安門事件もやっぱり、多くの人がどういうものだったか認識していますか? 若い人はもう分からなくなっていますか?

:文化大革命はみんな認識していると思います。歴史の教科書にも必ず書いてあります。映画や文学作品でも、あの時代をあつかったものには、基本、文化大革命が入ってきますね。もちろん、文化大革命が1966年から1976年まで、10年もの長い期間だったのと、その時代は人間の根本的な醜い部分、その反対のいちばん美しい部分が出てくるから、芸術作品のいいネタになっているところはあります。

でも、天安門事件はまったく別の話ですね。それこそまだタブーで……。今でもたぶん公開な場で、討論できるような話ではないと思います。私、大学は、北京師範大学だったんですけれども、天安門事件のいちばんリーダー的な大学だったんです。

開沼:おお、そうなんですね。

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