中国を「虚像」でしか見ていない日本人の盲点

「爆買い」のテレビ取材はなぜ紋切り型なのか

開沼:テレビやマスメディアはネット上ではマスゴミと揶揄されていますが、それはあまりにもステレオタイプなところをやってきたせいかもしれません。でも、ネットがそのステレオタイプの再生産を阻止できるのかというと、たぶん逆の再生産を作ったりする。

:そうですね、本当にそうだと思います。

開沼:そういう袋小路に入ってしまっているのが、難しいなと思います。

みんな別々のステレオタイプを作って、それで認識するような状況に対して、現実は複雑なんだと、それをどう受容していくのか。

中国の大学生は天安門事件のことを知らない?

開沼:『革命とパンダ』では、60年代の革命について書かれていますけども、けっきょく日本では中国の革命は理想的なものとして当時は捉えられていたわけですよね。では、中国では文化大革命はどういうふうに捉えられていたんですか?

:文化大革命は、中国では今だとはっきりと批判されていて、教科書でも「あれは間違っていた」と教育しています。でも、おじいちゃん、おばあちゃんの話を聞くと、ちょっとぼかして話してくるような感じがあって……。

開沼:まだタブー感があるんですか?

:いや、今は文化大革命はぜんぜんタブーではないんですけれども、経験した人にとっては、けっこう苦しい記憶だというのはあるんじゃないでしょうか。

開沼:それは張さんがけっこうインテリ家庭だったり、当事者に近いところにいたというようなことがあるんですか?

:インテリ家庭でもなかったんですけれども、おじいちゃん、おばあちゃんは当時批判されることは多かったらしいです。そこまで被害があった家庭ではないと思いますが、「狂った時代だった」というふうには言っていました。毛沢東主席の指示が来れば、深夜2時でもみんな外に出てダンスをしたり歌ったりするわけで、おかしいなと思う人もいるんだけれども、なにも言えなかったんだと思います。なかにはそういう熱狂の中にそのまま入り込んだ人も多々いたのではないかと思います。

今の自分はどう文化大革命を見ているかというと、中国の伝統の文化を壊してしまった過ちだったと認識しているし、何よりも人と人の信頼関係を壊してしまったことはいちばん駄目だったと思いますね。当時だと、告発ということがいちばん重要なわけで、夫婦のあいだでも、親子のあいだでも、信じきれないような状況があって、いろんな文学作品とかドキュメンタリーとかに出てきます。

でも、「革命」というワード自体は、また別の話ですね。日本にいると、「革命」とはちょっと怖くて狂っていて、馬鹿にできるものだと捉えられていると、私は感じます。例えば反原発においての座り込みだとかを、ああいう人はプロ市民だとかいうふうに馬鹿にする人は多いですけれども、中国だとそこまで抵抗感はないかなというふうに感じますね。

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