中国を「虚像」でしか見ていない日本人の盲点

「爆買い」のテレビ取材はなぜ紋切り型なのか

開沼:そのとおりですね。

ステレオタイプ化はより進んできている

:こうした状況の中で、開沼さんは、福島のイメージに関して思うことはありますか?

開沼:僕は取材される側でもあるし、取材する側でもあって、だから、そこは両方を見ているんですけどね。

震災から5年経つ中で、時間の経過と共に、ステレオタイプ化はより進んできているなとは思います。メディアの取材でも、もう初めに答えありきで、いろんなことを行く前に決めてしまっている。例えば、人の住めなかった地域があって、今は住めるようになってきたりしているんですけども、多くの人は「放射線を恐れて戻りたくないんじゃないか」というイメージがまずある。だから、帰るかどうかを住民に尋ねて、「帰れるようにはなったけれども、放射線が怖いから帰りたくないんです」という言葉を拾い集めてくる。そういう取材方法をよく見聞きするわけですよね。

でも、もうそんな分かりやすい言葉をみんな言うわけもなくて、「いや、ぜんぜん気にしてないですよ」とか、「いや、もうすぐ帰るつもりなんです」とか言う人も普通にいるわけです。でも、やっぱり一部を切り出して、白い紙の中に黒い点は1点しかないんだけど、そこを思いっきりクローズアップして、全体が黒であるかのようにする。

それが時間の経過と共に増えているというのは、事態がより複雑になっていて、答えは1つではなくAもBもCもDもあるみたいな状況が進行しているからだと思うんですね。そういう中でステレオタイプ化が求められて、ビジュアルだけじゃなく言葉のステレオタイプの拾い集めみたいなものもあるのかなと思います。

最初の段階は、ビジュアルの拾い集めが多かったんですね。僕は今も被災地を取材に行きますが、スチールカメラ、動画の人も一緒に来ます。それで、津波の跡に行くと、オフレコの冗談話として、「あの時、頑張って、瓦礫の中にある子どもの連絡ノートとか人形とか食器とか、分かりやすいものを一箇所に集めて写真に撮った」とか言うわけですよ。

僕はチェルノブイリにも行ったんですが、チェルノブイリで有名な保育園というのがあって、もう明らかにきれいに写真が撮れるようにセッティングされているのが、現場に行くと分かるわけです。で、だいたいどこのメディアも、日本・外国問わず、そのアングルで人形なんかを撮っている。あとガスマスクを外から持ち込んで、置いてあったりとか。ガスマスクなんて、ぜんぜん今、必要ないのに。

こうしたステレオタイプ化というのは、災害とか原発事故のところでは相当、出てくる。やはりそれは、その対象に対して、人びとが理解しがたいと感じていたり、なんらかの脅威を感じているときこそ、生産されてしまうのかなって。僕は、それを相対化して、それだけじゃないんだよということを示していく必要があると思うんですけどもね。

でも、今、張さんもテレビで働いていらっしゃると、相対化するよりはむしろ、ステレオタイプを強化するところに加担せざるを得ない部分ってあるわけですよね?

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