ソフトブレーン  強い営業部は、「会うべき人」にアプローチできている! 「商談の質」を高めて結果を出す営業マンを動かす仕組みとは

「営業活動の基本は、行くべき企業に行き、会うべき人に会うことに尽きます。ところがこれができていない営業組織が少なくありません」と指摘するのは、2000社以上の営業組織改革に携わってきた、ソフトブレーンの長田順三氏だ。その大きな理由の一つは、若手営業マンは、放っておけば、「行きやすい」企業に行ってしまうからだ。「これを防ぐためには、会うべき部門や人物を特定し、アプローチ状況を把握することが大切です」と長田氏は話す。そのポイントを聞いた。

制作・東洋経済企画広告制作チーム

「1日3件訪問」といった結果だけの管理では、成果につながらない

長田氏近影
長田 順三
ソフトブレーン
取締役 本社営業本部長
兼 営業企画・支援部長

 日報などを利用して営業マンの活動を管理している企業は少なくない。中には、名刺管理ソフトやスケジュール管理ソフトなどを使っているところもあるだろう。

 それに対して長田氏は「私はこれらのITツールを導入した数十社以上の企業から相談を受けましたが、ツールを導入しても業績に変化がないという声をよく聞きます。それもそのはずです。なぜなら、そうした企業の多くは、紙で管理していたデータをデジタル化したにすぎず、『行くべき企業に行けているか、会うべき人に会えているか』ということをマネジメントしていないからです」と話す。

 「1日3件訪問」といった行動量の目標を掲げている営業組織もあるだろう。だが、それも「質」の判断はできない。というのも、「1日3件回れ」と言われたら、多くの営業マンは、自分が行きやすいところに行くからだ。さらに、決裁に影響力を持つキーパーソンではなく、窓口担当者だけの商談になりがちだ。

 「特に売れない営業マンは、行きやすい会社のアポイントが取りやすい人を訪問するため、いつまでたってもキーパーソンに会えないのです。このような部下に対して、営業マネージャーが『もっとキーパーソンに会え』とハッパをかけたところで、明日から急に会えるようになるわけではありません」と長田氏は話す。

 では課題解決のために、何が必要なのだろうか。

あなたの会社の勝ちパターンを知っていますか

 どんな企業でも、営業活動において、キーパーソンに会うことが重要であることは否定しないだろう。「商品やサービスそのもので差をつけることが難しい昨今では、より一層、『誰に会うか』が大事になります」と長田氏は話す。

 というのも、同じような商品が並んだ場合、機能の有無を○×のチェック表で比較したり、いわゆる「相見積もり」で価格を比べたりしたりすることで購入先が選ばれることになりがちだからだ。

 「特に窓口部門だけを訪問していると、このような状況になりがちです。そうなると、どこよりも豊富な機能をつけ加え、どこよりも安く提示しないと勝てなくなります。消耗戦に陥らないためには、どこが『本丸』なのかを見極め、攻め方をしっかりと検討する必要があります」と長田氏は語る。

 たとえば、営業支援システムを提供している企業であれば、窓口となる情報システム部門ではなく、実際にそのソリューションのユーザーとなる営業部門などの支持を得られるかどうかが採否を左右することが多いという。そのためにも、たとえば営業本部長や営業部門の執行役員、時には社長など、売り上げ拡大を真剣に考えている人たちに会うことがカギになるわけだ。

 「営業組織のリーダーには、自社が選ばれるのはどのようなときなのか、逆に、選ばれないときはどのような理由なのかといった『勝ちパターン』と『負けパターン』を分析し、勝ちパターンに持っていく仕組みづくりが求められます」

「会うべき部門」、「会うべき人」を明確にカルテ化すること

 具体的に、組織として「勝ちパターン」を構築するためにはどこから取り組めばよいのだろうか。

 「まず、自社の過去の経験から、どの部門のどんな人に会えると受注の確率が高いかを分析します。ここで大切なのは、キーパーソンは決して一人ではなく、『面』で当たる必要があることです」と長田氏は説明する。

 複数の部門をまたぐプロジェクトなどの場合、会うべき部門や会うべき人を定義するだけでなく、一人ひとりが「窓口担当者」なのか、プロジェクトを推進する「旗振り役」なのか、さらには最終的な判断を下す「決裁者」なのか、立場や役割を見極めた上で営業活動を行わないと戦略がぶれることになる。「実際にはさらに、それぞれの人が、自社の商品やサービスの導入に対して『前向き』なのか、『中立』なのか、『後ろ向き』なのかといった購入意欲も把握すべきです。これらを一目で把握できるようにするとともに、まだ攻略できていない部門や人に対するアプローチを具体的に指示するのが、営業マネージャーなど営業組織のリーダーの役割です。まさに、医師がレントゲンを見て患者の体の悪いところを発見し、処方をカルテに記入するようなものです」と長田氏は話す。

 このような、会うべき(攻めるべき)部門や人がカルテ化できている営業組織であれば、マネージャーの指示は明確で、若手営業マンも、どのように行動すべきか迷いがないだろう。ぜひさまざまな企業で取り組み、「勝ちパターン」の多い営業組織をつくってほしいものだ。

「キーパーソン」に会い、
「勝ちパターン」に持っていくためのポイント

・どの部門のどの人に会うべきかを明確に定める。
・接触(コンタクト)の履歴や購買意欲の強弱などの情報を一覧にし、共有する。
・コンタクト管理をカルテ化し、「やるべきこと」を具体的に明らかにする。